この記事は、ベイカレント・コンサルティングに2019年から2023年まで在籍した田中麻衣子が書いています。新卒で入社し、アナリストからコンサルタントまでを経験しました。私自身も4年で辞めています。
「離職率が高いらしい」「定年まで働けるのか」——入社を考えるときに、必ず出てくる疑問だと思います。
そもそもクビになるのか、という点については別記事で書きました。
この記事では、その先を書きます。何年働けるのか。辞めるとしたら何年目か。辞めた人はどこへ行っているのか。
先に結論:定年まで働く前提の会社ではありません
はっきり書きます。
ベイカレントは、定年まで勤め上げることを前提に設計された会社ではありません。 これはこの会社の欠陥ではなく、コンサルという業態がそうだというだけのことです。
ただし、それは「長くいられない」という意味ではありません。 長くいる人もいます。実際に、上位の職位で長く働いている方は社内にいました。
正確に言うと、こうなります。
「定年まで」を目標にすると合わない。「数年で何を取るか」を決めて入ると合う。
この違いは、入る前に整理しておいたほうがいいです。
離職率の数字は、そのまま読めません
公表されている数字を見たことがある方もいると思いますが、この業界の離職率は、そのまま「働きにくさ」の指標にはなりません。
理由は2つあります。
① 採用が多いと、分母が大きく動く
急成長している会社は毎年大量に採用します。入社したばかりの人が母数に入るので、率の見え方が変わります。
② 「ネガティブな離職」と「計画的な離職」が区別されていない
コンサル業界では、3〜5年で次に進むのが標準的なキャリアパスとして機能しています。これは辞めさせられたのではなく、最初からそのつもりで入っている人が多いということです。
私自身も4年で辞めましたが、引き留められませんでしたし、それが普通でした。
数字より、「何年目に、どういう理由で辞めているか」を見るほうが実態に近いと思います。
何年目で辞める人が多いか
在籍していた範囲で見ると、辞めるタイミングは大きく3つに分かれていました。そして理由がまったく違います。
時期 | 理由 | 次の行き先 |
|---|---|---|
1〜2年目 | 仕事の性質が合わなかった | 事業会社に戻ることが多い |
3〜5年目 | 計画通り。取るものを取って次へ | 事業会社・他ファーム・独立 |
6年目以降 | 職位が上がるペースとの兼ね合い | 他ファーム・事業会社の管理職 |
いちばん多いのは3〜5年目です。そしてここは、ネガティブな離職ではありません。
1〜2年目の離職は、理由がはっきりしています。待っていると案件が決まりにくい仕組みに、適応できなかったケースがほとんどでした。能力の問題ではなく、動き方の問題です。
年次ごとに何が変わるかは、年収の記事で詳しく書いています。
「定年まで働けるのか」への答え
検索してこられる方が多いので、正面から書きます。
制度上は、定年まで働けます。 定年がないわけではありませんし、長く在籍している方も実際にいます。
ただし、現実的にそうなる人は多くありません。 理由は3つです。
① 職位が上がらないと、居心地が悪くなる
この会社では、同じ職位に長くとどまることが想定されていません。 上がらないまま年次だけ重ねると、周囲との関係のなかで、本人がつらくなります。
② 上の職位ほど、席が少ない
当たり前ですが、上に行くほどポジションの数は減ります。全員が上がれる構造にはなっていません。
③ 稼働の波が、年齢とともにきつくなる
案件のフェーズによって波があるのは、何年目でも変わりません。20代で耐えられた波が、40代でも同じように耐えられるとは限りません。
だから「定年まで」を第一の目的にすると、期待とずれます。 逆に、数年で取るものを決めて入れば、非常に効率のいい環境だと思います。
年齢構成について
社内を見ていた実感として、20代後半から30代が中心でした。40代以上の方もいますが、多くは上位の職位です。
これは「年齢が高いといられない」のではなく、上がった人が残り、そうでない人は外に出ていくからそうなります。
裏を返せば、中途で入る場合、年齢より職位のほうが重要ということです。
辞めた人は、どこへ行ったか
私の周囲で実際にあった進路です。
行き先 | どういう人が行ったか | その後どうなったか |
|---|---|---|
事業会社のIT・DX推進 | いちばん多い | 稼働が大きく減る。額面は下がることも |
事業会社の事業側 | 業務改革の案件を多く経験した人 | 合意形成の力がそのまま効く |
他ファーム | 職位を上げて移る | 額面がいちばん上がりやすい |
独立・フリーランス | 特定領域を深めた人 | 人脈が前提。全員向けではない |
いちばん多いのは、事業会社のIT・DX推進でした。ベイカレントで扱った案件がそのまま活きるので、移りやすい。
ただし、事業会社は「楽になる場所」ではありません。 時間は減りますが、決まらないことのしんどさに変わります。ここのギャップは大きいので、別記事にまとめました。
→ コンサルから事業会社に移るとどうなるか / ポストコンサルの進路
辞めるときに、実際に何が起きるか
あまり書かれていない部分なので、書きます。
引き留めは、ほとんどありませんでした。
私が辞めると伝えたとき、驚かれはしましたが、強く止められることはありませんでした。 これは冷たいという話ではなく、数年で次に進くことが前提になっているからだと思います。
手続きは、一般的な会社と変わりません。 退職の意思を伝えてから最終出社まで、1〜2か月程度を見ておけば足ります。
気をつけるべきは、案件の区切りです。
進行中の案件がある状態で辞めると、引き継ぎの負荷が大きくなります。案件の終わりに合わせて時期を調整できると、お互いに楽です。私もそうしました。
転職活動と在籍を並行させるのは、難しくありません。 ただし、案件の山場と面接が重なると、どちらも中途半端になります。フェーズを見て動くのが現実的です。
自分は何年いるべきか
これが、この記事でいちばん伝えたいことです。
期間から決めないでください。「何を取るか」から決めてください。
在籍していた人を見ていて、満足して出ていった人は、全員これが決まっていました。
取りに来ていたもの | かかった期間の目安 |
|---|---|
大規模プロジェクトの進め方 | 3年 |
特定業界の業務知識 | 3〜4年 |
「決める場に立つ」回数 | 4年 |
職位(コンサルタント以上の肩書き) | 4〜6年 |
逆に、期間だけ決めて入った人は、途中で迷っていました。 「とりあえず3年」は、3年目に何も残っていないと分かったときに効きません。
いま在籍していて辞めるか迷っている方は、先にこちらを読んでみてください。
よくある質問
Q. 離職率は何%ですか
公表されている数字はありますが、そのまま実態を表しません。 採用規模が大きいと分母が動きますし、計画的な離職とそうでない離職が区別されていないためです。数字より、何年目にどういう理由で辞めているかを見てください。
Q. 早期離職が多いのは、ブラックだからですか
違うと思います。ワンプール制という仕組みに合うかどうかで、早い段階で分かれるというのが実態に近いです。待っていると案件が決まりにくいので、動けない人は早く行き詰まります。
Q. 長く働いている人はどういう人ですか
職位が上がっている人です。上がり続けている人は、居心地が悪くなりません。逆に言えば、上がらないまま長くいるのは難しい環境です。
Q. 辞めたあと、年収は下がりますか
行き先によります。事業会社に移ると額面は下がることが多いですが、稼働が大きく減るので、時間あたりでは上がることが多いです。他ファームに職位を上げて移る場合は、額面も上がります。
Q. 何年目で辞めるのが得ですか
3〜5年目が、いちばん選択肢が多い時期です。それ以前は「決めた経験」が足りず、それ以降はマネジメント職での受け入れを探すことになるので、ポジションが限られます。
まとめ
ベイカレントの離職について、整理します。
定年まで働く前提の会社ではない。 ただし長くいる人もいる
離職率の数字はそのまま読めない。 何年目に、なぜ辞めたかを見る
いちばん多いのは3〜5年目。 これは計画的な離職で、ネガティブではない
1〜2年目の離職は、仕組みへの不適応。 待っていると案件が来ない構造
期間ではなく「何を取るか」から決める。 満足して出た人は全員これが決まっていた
私は4年で辞めましたが、辞めることを前提に入ったわけではありません。 3年目あたりで、取りたいものが取れたと感じたので動きました。
その判断ができる状態を作っておくことが、この会社で働くうえではいちばん大事だと思っています。
転職を具体的に検討する段階なら、選考の流れも含めてこちらにまとめています。
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