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2026/09/15

ベイカレントは本当に「クビ」になるのか|元社員が離職の実態を解説する

田中麻衣子

本記事には広告(プロモーション)が含まれます。

「ベイカレント クビ」——この検索が一定数あるのは、事実として何かが起きているからです。ただ、多くの人が想像している「成果が出ないと解雇される」とは違います。

私は2019年にベイカレントへ新卒で入社し、2023年まで在籍しました。アナリストからコンサルタントまでを経験し、IT領域と流通領域の案件を担当しています。その4年間で、解雇された人を見たことは一度もありません。

一方で、辞めた人は見ています。特に新卒で入って、早い段階で辞めていく人が一定数いました。 この記事では、その「一定数」が何によって生まれているのかを書きます。おそらくそれが、「クビ」という言葉で検索されている中身です。

解雇は起きていない。起きているのは早期離職

まず事実関係を整理します。

日本の労働法制上、成果不振を理由に社員を一方的に解雇することは簡単ではありません。それはベイカレントでも同じで、在籍中にそうした話を聞いたことはありませんでした。

代わりに起きているのは、新卒入社した人が数年以内に辞めていくという現象です。私の実感として、これは「一定いる」という表現がいちばん正確です。全員が辞めるわけでも、珍しいわけでもない。毎年、一定数が抜けていく。

これは会社が追い出しているのではなく、入る前の想像と中身が合わなかった人が、合わないと判断して出ていくという流れです。ではその「合わなかった点」は何だったのか。在籍中に見てきた範囲で、3つあります。

理由①:営業とコンサルが分業になっている

これがいちばん大きいと思っています。そして、入る前にはほぼ分からない点でもあります。

ベイカレントでは、案件を取ってくる営業と、実際にデリバリーするコンサルタントが分かれています。 多くのコンサルファームでは、上位職のコンサルタントが提案から入り、そのまま実行まで見ます。提案した本人が責任を持つので、無理な条件では受けません。

分業だと、そこが切れます。結果として、現場から見て「この条件では厳しい」という案件が、一定の割合で入ってきます。 いわゆる炎上案件です。

私自身、担当した案件のすべてが炎上したわけではありません。順調に進んだものもたくさんあります。ただ、構造的に一定の割合で発生するという感覚はありました。そしてこれは、個人の能力とは別の要因で起きます。

新卒で入って最初にアサインされた案件がそれだった場合、「コンサルとはこういうものか」という印象がそこで固定されてしまう。辞めていく人の何割かは、ここだと思います。

では、炎上案件では実際に何が起きるのか。私が見た範囲では、だいたい次の順番で進みます。

  1. 提案時に握った範囲と、顧客が期待していた範囲がずれていることが、着手して2〜3週間で分かる

  2. 現場で吸収しようとする。ここで工数が膨らむ

  3. それでも足りず、期日の前倒し作業が発生する

  4. 体制が追加されるか、スコープが再定義されるかで収束する

重要なのは、このズレを作った人が現場にいないということです。提案した営業は次の案件に移っていて、現場のマネージャーが引き受け直すことになる。ここで上に立つ人が交渉できるタイプかどうかで、その後の数か月がまるで変わります。

裏を返せば、炎上するかどうかは自分の頑張りではほとんど決まりません。 ここを理解していないと、「自分の力不足だ」と受け取ってしまう。新卒で最初の案件がこれだった人が辞めやすいのは、そのためだと思っています。

案件に入った後の負荷そのものについては、ベイカレントは激務なのかで分けて書きました。忙しさの実感としては、アクセンチュアなど他の総合系と大きくは変わりません。

理由②:アサインの仕組みが分かっていない

ベイカレントはワンプール制です。業界別・ソリューション別の組織を持たず、全員が1つのプールに所属して、案件ごとにアサインが決まります。

ここについて、外から語られている内容には誇張があると感じています。「選ばれなければ仕事が来ない」「弾かれたら終わり」といった書き方を見かけますが、私の在籍中の実感はもう少し穏当です。

実際のところ、アサインは希望になるべく準じてくれます。 こういう領域をやりたい、こういう業界を見たいという希望を出せば、それが通るように調整される。私自身、IT領域から流通領域に軸を広げたときも、希望が反映されました。

そして、プロジェクトが途切れているタイミングについても同じです。実力を示せていれば、極力希望を叶えてくれる。 ここは会社として意識的にやっていたと思います。

ただし、裏返しがあります。「実力を示せていれば」という条件が付くということは、示せていない状態では希望が通りにくいということでもあります。年次で自動的に良い案件が回ってくる仕組みではありません。

新卒1〜2年目で、まだ何も示せていない段階の人にとっては、この差が見えづらい。「希望を出したのに通らなかった」と感じたとき、それが自分の実績の問題なのか、会社の仕組みの問題なのかが判断できない。ここで会社側に原因を置くと、辞める方向に進みます。

なお、この仕組みは年収の高さと表裏一体です。実力を示せた人が速く上がる設計だからこそ、平均年収1,331万円(平均年齢31.3歳・2026年2月期)という水準が成り立っている。構造はベイカレントの平均年収はなぜこの水準になるのかで分解しました。昇格したときの年収の上がり方は、正直かなり大きいです。

理由③:成長のスピードに対する期待のズレ

3つ目は、もっと個人的な要因です。

ベイカレントは、入る前に「勢いがある会社」という評判で語られます。これは実際に当たっていました。在籍中も業績は伸び続けていましたし、社内の空気もその通りでした。

ただ、会社の勢いと、自分の成長の速さは別です。会社が伸びているからといって、自分が自動的に引き上げられるわけではない。

この点を混同したまま入ると、1〜2年経ったときに「思ったより変わっていない」という感覚になります。そしてコンサル業界は、外から声がかかりやすい業界でもあります。辞めた人の行き先は、同業他社が圧倒的に多いです。事業会社に出るのではなく、別のファームに移る。

これは悪いことではないと思っています。ただ、「クビ」という検索ワードの背景を正確に言うなら、追い出されたのではなく、市場価値が付いた段階で外に出ていく人が多いという構図です。

外で語られている「ワンプール制」と、中で見た実際

転職メディアや掲示板で語られるベイカレント像と、在籍中の実感には、いくつかズレがあります。ここは正直に並べておきます。

外で語られている内容

在籍4年の実感

案件に入るには面談で選ばれる必要がある

希望を出せば、なるべく準じて調整してくれる

選ばれなければ仕事が来ない

案件が途切れているときも、実力を示せていれば極力叶えてくれる

成果が出ないと解雇される

解雇は見たことがない。起きているのは自主的な離職

専門性が積み上がらない

希望を出せば領域は寄せられる。出さなければ寄らない

若くても実力で上がれる

これは事実。昇格時の年収の上がり方も大きい

誇張されている部分と、当たっている部分が混ざっています。

誇張が生まれる理由は想像がつきます。ワンプール制という言葉が、「組織に守られない」という印象を与えやすいからです。実際には、守られないのではなく、言わないと動かないというだけだと思っています。

同じ構造は「クビ」以外の言われ方にも当てはまります。「ベイカレントはやばい」という表現も同様で、激務の話と、評価制度の話と、組織文化の話が、ひとつの言葉に混ざったまま流通しています。 何がやばいと言われているのかを論点ごとに分解したものがベイカレントは「やばい」のか|言われ方を論点別に検証するです。この記事と同じ方針で、誇張と事実を分けて書いています。

ただし、これを「大したことはない」と受け取るのも違います。言わないと動かない仕組みは、言うのが苦手な人には確実に不利です。 前職で、自分から手を挙げて役割を取りに行った経験があるかどうか。ここが実質的な適性判断になります。

離職率の数字はどう読むか

「ベイカレント 離職率」も検索されています。ここは慎重に書きます。

私は社内の正確な離職率データを持っていません。 公開されている口コミには数字がばらついて出ていますが、算出基準が不明なものが多く、そのまま引用するのは適切でないと判断しました。

そのうえで、読み方だけ書いておきます。

コンサル業界は、そもそも離職率が高い業界です。 これは会社の良し悪しではなく、業界の性質です。3〜5年で経験を積んで次に移るのが、むしろ標準的なキャリアパスとして機能しています。私自身、4年で退職しました。

だから離職率の数字そのものより、辞めた人がどこに行っているかのほうが判断材料になります。前述のとおり、ベイカレントの場合は同業他社への移籍が多い。これは市場で評価されている証拠でもあります。

早期離職を避けるために、入る前にできること

在籍していた側から、現実的な話を書きます。

① 営業とコンサルが分業であることを前提に置く

これは制度なので、変わりません。だから「炎上案件に当たる可能性が構造的にある」ことを織り込んで入るかどうかです。逆に言えば、それを知って入れば、当たったときに「話が違う」とはならない。

② 最初の1年で何を示すかを決めておく

「実力を示せていれば希望を叶えてくれる」仕組みなので、何を示すかを先に決めている人ほど早く軌道に乗ります。 前職の業界知識でもいい、特定の技術領域でもいい。「何でもやります」は、この仕組みでは弱い。

③ 希望は出し続ける

希望を出さない人には、調整のしようがありません。私の実感では、言った人には応えようとしてくれる会社でした。遠慮する必要はないと思います。

1年目から4年目で、何が変わるか

在籍した4年を振り返ると、置かれる状況は年次でかなり変わりました。辞める人が出やすいのがどこかも、ここに関係しています。

1年目(アナリスト)

与えられた作業を正確に速く回すことが中心です。この段階では、まだアサイン希望を通す材料がありません。だから、回ってきた案件で経験が決まる割合が高い。辞める人がいちばん多いのは、実感としてここです。

2年目(アナリスト)

1年目の評価が付いてきて、「この人はこういうことができる」という認識が社内にできます。ここから希望が通り始めます。私がIT領域を軸にできたのも、2年目の後半からでした。

3年目(コンサルタント前後)

昇格が視野に入ります。役職が上がったときの年収の上がり方は、正直かなり大きいです。日系企業の感覚だと驚くと思います。同時に、案件の中で自分が何を担うかを自分で設計する比重が増えます。

4年目以降

外から声がかかり始めます。前述のとおり、同業他社への移籍が多い。ここで辞める人は「合わなかったから」ではなく「次が決まったから」です。1年目の離職とは性質が違います。

つまり、辞める理由は年次で分かれています。 「離職率が高い」という一言でまとめてしまうと、この違いが見えなくなります。

→ ポストコンサルの進路

後悔する人と、しない人

「ベイカレント 後悔」「ベイカレント転職 後悔」も一定数検索されています。分かれ目は、はっきりしています。

後悔しやすい人

  • 会社の勢いと自分の成長を同じものだと思っている人

  • 希望を出さないまま、回ってきた案件で判断してしまう人

  • 炎上案件に当たったことを、会社の本質だと結論づけてしまう人

後悔しにくい人

  • 示すものを1つ決めて入っている人

  • 案件ごとの当たり外れと、会社の構造を切り分けて見られる人

  • 数年で次に行く前提を、最初から持っている人

最後の項目は、日系企業から来る人には抵抗があるかもしれません。ただコンサル業界では、これが後ろ向きな話ではありません。私自身も、入った時点でずっといるつもりはありませんでした。

構造の違いをアクセンチュアと並べて見たい場合は、ベイカレントとアクセンチュアはどっちがいいのかで比較しています。

入社前に確認すべきこと

面接やオファー面談で聞いていい質問です。

  • 入社後、最初のアサインはどのように決まりますか

  • アサインの希望は、どのタイミングでどう出しますか

  • 私の経歴だと、どのような案件で声がかかりやすいですか

  • 提案フェーズと実行フェーズで、担当する人は変わりますか

最後の質問が重要です。 分業であること自体は公開情報から推測できますが、自分が入る領域で実際にどう運用されているかは、聞かないと分かりません。

よくある質問

ベイカレントは成果が出ないとクビになりますか
在籍4年の間に、解雇された人を見たことはありません。日本の労働法制上も、成果不振を理由とした一方的な解雇は容易ではありません。実際に起きているのは、新卒層を中心とした早期離職です。

なぜ新卒で辞める人が一定いるのですか
営業とコンサルが分業のため炎上案件が構造的に発生すること、アサインの仕組みが「実力を示せていれば希望が通る」設計であること、会社の勢いと自分の成長を混同しやすいこと。この3つが主な要因だと考えています。

アサインは選ばれないと決まらないのですか
「選ばれる」という表現はやや強いと思います。私の実感では、希望になるべく準じて調整してくれました。プロジェクトが途切れているときも、実力を示せていれば極力希望を叶えてくれます。

離職率は高いですか
正確な数値は確認できていません。ただしコンサル業界全体で離職率は高く、3〜5年で次に進むのが標準的です。数字より「辞めた人がどこに行っているか」を見てください。ベイカレントの場合は同業他社が多いです。

未経験で入ると危険ですか
未経験そのものより、示すものが決まっていないことのほうがリスクです。前職の業界知識は、アサイン希望を通す根拠として十分に機能します。

炎上案件はどれくらいの頻度でありますか
全案件ではありません。ただし営業とコンサルが分業である以上、構造的に一定の割合で発生します。これは個人の能力とは別の要因です。

まとめ

  • 「クビ」の実態は解雇ではなく、新卒層を中心とした早期離職

  • 原因は3つ。営業とコンサルの分業による炎上案件/アサインの仕組みの理解不足/会社の勢いと自分の成長の混同

  • アサインは「選ばれないと来ない」ではなく、希望になるべく準じてくれる。ただし「実力を示せていれば」という条件が付く

  • 離職率の数字より、辞めた人がどこに行っているかを見る。ベイカレントは同業他社が多い

  • 入る前にできるのは「分業を前提に置く」「最初の1年で示すものを決める」「希望を出し続ける」の3つ

  • 面接では「提案フェーズと実行フェーズで担当が変わるか」を必ず聞く

年収・選考・働き方を含めた全体像は、ベイカレント転職の完全ガイドにまとめました。


田中麻衣子
2019年にベイカレント・コンサルティングへ新卒入社。アナリストからコンサルタントまでを経験し、IT・流通領域の案件を担当。2023年に退職。

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