「ベイカレント やばい」という検索は、実は2つの正反対の意味で使われています。
ひとつは「年収がやばい(高い)」。もうひとつは「働き方がやばい(きつい)」。同じ言葉で、褒め言葉と警告が混ざっているのがこのキーワードの特徴です。
私は2019年にベイカレント・コンサルティングへ新卒で入社し、2023年まで在籍しました。アナリストからコンサルタントまでを経験し、IT領域と流通領域の案件を担当しています。
この記事では、「やばい」と言われている中身を4つに分けて、どれが事実で、どれが誇張なのかを書きます。
先に結論
「やばい」の中身 | 判定 |
|---|---|
① 年収がやばい(高い) | 事実。 ただし読み方に注意が要る |
② 働き方がやばい | 半分事実。 量ではなく、炎上の原因が固有 |
③ ワンプール制がやばい | 誇張。 外で語られているほど厳しくない |
④ 辞める人が多くてやばい | 事実だが、中身が2種類ある |
順番に見ていきます。
① 年収がやばい(高い)──事実
平均年収は約1,350万円、平均年齢31.2歳(2025年2月期)。戦略ファームと並ぶ水準です。
中にいた側から言うと、この数字自体に誇張はありません。 そして、昇格したときの上がり方は、正直かなり大きいです。日系企業から来た同僚が驚いていたのは、たいていここでした。年次で少しずつ積み上がるのではなく、役職が変わったところで段が上がる。
ただし、読み方に2つ注意点があります。
① 平均は社員構成の産物です。 ベイカレントはコンサルティングに特化しているため、分母がコンサル職に寄っています。システム導入や運用まで内部に持つ総合系ファームと平均同士で比べると、同じ職種を比べた差にはなりません。
② 昇格しない期間は、あまり動きません。 年次で自動的に上がる仕組みではないので、「平均1,350万円の会社に入る」ではなく「昇格すれば1,350万円に届く会社に入る」と読むのが正確です。
構造の分解はベイカレントの年収はなぜ1,350万円なのかに書きました。
② 働き方がやばい──半分事実
ここは分けて書く必要があります。
労働時間の水準そのものは、他の総合系ファームと大きく変わりません。
時期 | 残業の実感 |
|---|---|
立ち上がり期 | 少なめ。定時退社の日もある |
中盤の通常期 | 1日2〜3時間程度 |
本稼働・納品直前 | 月80時間近くまで行くことがある |
案件の切れ目 | かなり落ち着く |
アクセンチュアなど他の総合系でも、フェーズによって同じような分布になります。「ベイカレントだけが特別に激務」という話ではありません。
ただし、炎上の原因は固有です
ここが本題です。
ベイカレントでは、営業とコンサルが分業になっています。 案件を取ってくる人と、実際にデリバリーする人が分かれている。
多くのファームでは、上位職のコンサルタントが提案から入って実行まで見ます。提案した本人が責任を持つので、無理な条件では受けません。分業だと、そこが切れる。
結果として、現場から見て「この条件では厳しい」という案件が、構造的に一定の割合で入ってきます。 そして、そのズレを作った人は現場にいません。
全案件が炎上するわけではありません。順調に進んだものもたくさんあります。ただ、構造上、一定の割合で発生するという感覚はありました。そしてそれは個人の能力とはほぼ無関係に決まります。
「やばい」という言葉が使われる背景として、いちばん実態に近いのはここだと思っています。詳細はベイカレントは激務なのかで扱いました。
入る前に、分業の運用を確かめておく 提案と実行の担当が分かれているかは、領域によって運用が違います。外からは分かりにくい部分なので、面接で確認できる形に整理しておくと安心です。
③ ワンプール制がやばい──誇張
外で語られているベイカレント像の中で、いちばん誇張されているのがここです。
ベイカレントは業界別・ソリューション別の組織を持たず、全員が1つのプールにいます。案件ごとにアサインが決まる。
これについて、「面談で選ばれなければ仕事が来ない」「弾かれたら終わり」といった書き方をよく見かけます。在籍4年の実感は、もっと穏当です。
外で語られている内容 | 在籍4年の実感 |
|---|---|
面談で選ばれなければ案件が来ない | 希望を出せば、なるべく準じて調整してくれる |
案件が途切れたら放置される | 実力を示せていれば、極力希望を叶えてくれる |
成果が出ないと解雇される | 解雇は見たことがない |
専門性が積み上がらない | 希望を出せば領域は寄せられる。出さなければ寄らない |
若くても実力で上がれる | これは事実 |
私自身、IT領域から流通領域に軸を広げたときも、希望が反映されました。
実態を一言で言うなら、「守られない」ではなく「言わないと動かない」です。
ただし、これを「大したことはない」と受け取るのも違います。言わないと動かない仕組みは、言うのが苦手な人には確実に不利です。 そしてこの適性は、入ってからでは変えにくい。
④ 辞める人が多くてやばい──事実だが、2種類ある
新卒で辞める人は、一定数いました。 これは事実です。
ただし、辞める理由は年次で違います。ここを分けずに「離職率が高い」とまとめると、実態が見えなくなります。
1〜2年目の離職
想像と中身が合わなかった人が出ていきます。前述の炎上案件に最初に当たった人が多い印象です。「コンサルとはこういうものか」という印象がそこで固定されてしまう。
3年目以降の離職
外から声がかかって移ります。行き先は同業他社が圧倒的に多いです。事業会社に出るのではなく、別のファームに行く。
これは「追い出された」のではなく、市場価値が付いた結果です。 コンサル業界全体で、3〜5年で次に進むのは標準的なキャリアパスとして機能しています。私自身も4年で退職しました。
なお、解雇は見たことがありません。 「クビ」という検索が一定数あるのは、この早期離職が背景だと考えています。詳細はベイカレントで「クビ」と言われる理由で扱いました。
「やめとけ」と言われる理由は、会社の話ではない
「ベイカレント やめとけ」も一定数検索されています。ここは正直に書きます。
やめとけと言われる理由の大半は、ベイカレント固有の話ではありません。総合系コンサルという業態そのものへの向き不向きです。
具体的には、この3つです。
① 顧客のために踏ん張れるか
自社の製品でも自社の事業でもないものに、自分の時間と労力を注ぎ込むことになります。ここに意味を見出せない人は、どのファームでも続きません。
② 地味な調整業務が多い
華やかなイメージで語られがちですが、実際は関係者の間を行き来して合意を取る作業が中心です。私がいたIT領域では、業務側と開発側の間に立って要件を通す役割が大半でした。長時間働くことより、成果が見えにくい調整作業が続くことに消耗する人を何度も見ました。
③ 案件で当たり外れがある
これはどのファームにもあります。ベイカレントの場合、その要因に分業が加わるというだけです。
この3つに「無理だ」と感じるなら、ベイカレントではなくコンサル業界そのものが合いません。 逆に、ここが平気なら、会社固有の論点はもっと小さい話です。
口コミが割れる理由
「やばい」という評価が割れるのは、書いた人がどの案件に入っていたかで体験が別物になるからです。
炎上案件にいた人と、順調な案件にいた人。希望を出していた人と、出していなかった人。同じ会社の話とは思えない文章になります。
だから口コミは、「どの案件のどのフェーズにいたか」「希望を出していたか」が読み取れるものだけを判断材料にしてください。読み方はベイカレントの評判は本当かに整理しました。
「やばい」が当てはまる人・当てはまらない人
「やばい」と感じやすい人
仕事は組織から来るものだと思っている人
案件の当たり外れを、会社の本質だと結論づけてしまう人
会社の勢いと自分の成長を同じものだと思っている人
調整中心の仕事に意味を見出せない人
「やばい」と感じにくい人
自分から希望を出して動くことが苦にならない人
示すものを1つ決めて入っている人
数年で次に行く前提を最初から持っている人
顧客の課題に自分の時間を注ぐことに納得している人
能力の話ではありません。 どちらも仕組みへの適性の話です。そして、これは入る前に判断できます。
よくある質問
ベイカレントは本当にやばいのですか 「やばい」の中身によります。年収は事実として高く、働き方は他の総合系と大きく変わりません。固有なのは、営業とコンサルの分業から炎上案件が構造的に発生する点です。
ワンプール制は厳しいですか 外で語られているほどではありません。希望を出せばなるべく準じてくれます。ただし言わない人には調整のしようがないので、そこが不利に働きます。
クビになることはありますか 在籍4年の間、解雇を見たことはありません。起きているのは新卒層を中心とした早期離職です。
離職率が高いのはやばくないですか 1〜2年目の離職と、3年目以降の同業他社への移籍は性質が違います。後者は市場価値が付いた結果で、コンサル業界では標準的です。
「やめとけ」と言われる理由は何ですか 大半は総合系コンサルという業態への向き不向きです。顧客のために踏ん張れるか、地味な調整業務が中心であることに耐えられるか。会社固有の話ではありません。
年収が高いのは、その分やばいからですか 年収の高さは社員構成と昇格設計から来ています。「きついから高い」という単純な関係ではありません。
まとめ
「やばい」には年収(褒め言葉)と働き方(警告)の2つの意味が混ざっている
年収がやばい=事実。 昇格時の上がり方は大きい。ただし平均は社員構成の産物
働き方がやばい=半分事実。 時間の水準は他の総合系と変わらない。固有なのは営業とコンサルの分業による炎上
ワンプール制がやばい=誇張。 実態は「守られない」ではなく「言わないと動かない」
辞める人が多い=事実だが2種類。 1〜2年目の不一致と、3年目以降の同業他社への移籍
解雇は見たことがない
「やめとけ」の理由の大半は、総合系コンサルという業態への向き不向き。会社固有の話ではない
年収・選考・働き方を含めた全体像は、ベイカレント転職の完全ガイドにまとめました。
「やばい」かどうかは、自分との相性で決まる 希望を出して動く働き方が合うかは、これまでの職務経歴を客観的に見てもらうと判断できます。口コミを読み続けるより早いです。
田中麻衣子 2019年にベイカレント・コンサルティングへ新卒入社。アナリストからコンサルタントまでを経験し、IT・流通領域の案件を担当。2023年に退職。
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