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転職ガイド

2026/09/14

アクセンチュアの平均年収866万円は、なぜ実態より低く見えるのか|元マネージャーが11段階の等級から解説する

山口翔太

本記事には広告(プロモーション)が含まれます。

「アクセンチュアの平均年収は866万円」。この数字を見て、思ったより低いと感じた人は多いと思います。

ベイカレントの平均年収は1,331万円です。470万円の差がある。同じコンサルティングファームで、なぜここまで違うのか。

結論から書くと、この2つの数字は、数えている人が違います。 会社の実力差でも給与水準の差でもありません。

私は2017年に新卒でアナリストとして入社し、業界横断でデジタル変革を支援する部門で4年間を過ごして、2021年にマネージャーで退職しました。その間、自分の等級が動くたびに給与がどう変わるかを一通り見ています。中途で入ってくる人の提示額がどう決まるかも、受け入れ側として見ていました。

この記事では、まず866万円という数字の正体を分解します。そのうえで11段階ある等級別のレンジ、新卒の初任給、中途の提示額の決まり方まで落とします。

平均年収866万円という数字が使えない理由

この平均には、コンサルタント以外の職種が全部入っている

これが一番大きい理由です。

転職口コミサイトでアクセンチュアの職種別年収を見ると、こういう区分けになっています。

  • コンサルタント

  • 戦略

  • マネージャー

  • エンジニア・SE

  • 営業

  • テクノロジー

  • アナリスト

  • 事務

エンジニア・SE、営業、事務が並んでいることに注目してください。 アクセンチュア株式会社という法人には、コンサルティング部門だけでなく、システム開発、オペレーション、デジタルマーケティングまでが含まれています。

866万円は、その全部を足して割った数字です。

在籍していたときの実感としても、同じフロアにいる人の職種はかなり幅がありました。隣のチームがシステムの実装をしていて、その隣が運用を回している。全員がコンサルタントという会社ではありません。

一方のベイカレントは、ワンプール制で全員がコンサルタントです。職種が1つしかない。だから平均が高く出ます。

つまり866万円と1,331万円を並べて「アクセンチュアのほうが低い」と読むのは、コンサルタントだけの集団と、コンサルタント+エンジニア+運用の集団を比べていることになります。比較になっていません。

コンサル職だけを取り出すと、差はかなり縮む

では実際のところどうなのか。後述する職種別の集計で見ると、コンサルタントは957万円、戦略は1,459万円です。全社平均を大きく上回ります。

等級別で見ても、マネージャー相当で1,100万円台、シニアマネージャー以上で1,500万円を超える。これはベイカレントの同等級とほぼ重なります。

ここを誤解したまま転職先を選ぶと、判断を間違えます。アクセンチュアとベイカレントのどちらを選ぶかは、年収水準ではなく仕事の中身と組織構造で決めるべき話です。その比較はベイカレントとアクセンチュアはどっちがいいのかで整理しました。

866万・869.5万・877万・1,268万とズレる理由

もうひとつ知っておくべきなのが、出典によって数字が違うことです。

出典の種類

提示される平均年収

転職口コミサイトの集計

約866万円

同上(別の集計時点)

約877万円

転職エージェントの支援実績

約869.5万円

ハイクラス層対象の調査

約1,268万円

最後の1,268万円が目を引くと思います。同じ会社で400万円も違う。

これはどちらかが間違っているのではなく、見ている層が違うだけです。

口コミサイトの集計は、現職・退職者が自分で投稿した額を幅広く集めたものです。全職種・全等級が混ざります。一方でハイクラス層を対象にした調査は、転職市場に出てくる層に寄ります。アクセンチュアから他社に移ろうとする人は、ある程度の等級まで上がった人が多い。だから高く出ます。

転職エージェントの支援実績値も同じ性質です。その会社が支援した案件の平均なので、そのエージェントが扱う年収帯に引っ張られます。

どれも嘘ではありません。母集団が違うだけです。

そしてアクセンチュアには有価証券報告書がありません。日本法人が上場していないので、開示義務に基づく公式の平均年収が存在しないのです。だから出どころの違う数字が並立します。

ここがベイカレントとの決定的な違いです。ベイカレントは東証プライム上場なので、有価証券報告書に平均年間給与が記載されます。アクセンチュアの年収を調べるときは、「どの集計か」を必ず見てください。

そして平均は、待遇が変わらなくても動く

アクセンチュアは中途採用を継続的に大量に行っています。若手層の採用が増えた年は平均が下がり、シニア層の比率が上がった年は上がります。

給与テーブルが1円も変わらなくても、平均年収は動く。つまり「去年より平均が下がった」という情報から、待遇が悪化したとは読み取れません。人員構成の変化を見ているだけであることのほうが多い。

ここまでをまとめると、平均年収866万円という数字は次の3つの意味で、個人の年収の目安になりません。

1つ目。コンサルタント以外の職種を含んだ全社平均です。

2つ目。集計元によって866万〜1,268万まで振れます。

3つ目。人員構成で動くので、年ごとの増減に意味がありません。

では何を見ればいいのか。等級です。

等級(CL)は11段階ある

ここが、外からいちばん見えにくいところです。

転職サイトで見る「アナリスト」「コンサルタント」「マネージャー」「シニアマネージャー」「マネージングディレクター」という呼称は、5つの役職名のように見えます。実際にはそれぞれが複数の等級をまとめた括りです。実務上の刻みは11段階あります。

社内ではCL(キャリアレベル)という呼び方をします。数字が小さいほど上位です。入社時点のアナリストがCL11前後、マネージングディレクターがCL3以上、という並びになります。

等級別の年収レンジ

公開されている複数の調査を並べます。調査によって幅の取り方が違うので、両方を見て「このあたり」と捉えてください。

等級

調査A(口コミ集計)

調査B(転職市場)

目安年次

アナリスト

約550万円

600〜750万円

1〜3年目

シニアアナリスト

600〜700万円台

—

2〜4年目

コンサルタント

約840万円

800〜1,200万円

3〜6年目

アソシエイトマネージャー

900〜1,000万円台

—

4〜8年目

マネージャー

1,100〜1,320万円

1,100〜1,700万円

5〜10年目

シニアマネージャー

1,725〜2,300万円

1,500〜2,100万円

10〜15年目

マネージングディレクター

2,500万円以上

2,400万円〜

15年目〜

年次はあくまで標準的な目安です。実際には、評価と案件の巡り合わせで前後します。

この表でいちばん見てほしいのは、コンサルタントとマネージャーの間です。上限で見ても下限で見ても、ここに最大の段差があります。アクセンチュアで年収を上げるという話は、事実上「ここをいつ越えるか」という話とほぼ同義です。

そして前章の平均866万円は、この表のコンサルタント相当にすら届いていません。 全社平均にエンジニアやオペレーション職が含まれているからです。

1つ上がるのと、2つ上がるのは意味が違う

同じ括りの中で1段階上がるぶんには、昇給幅はそこまで大きくありません。数十万円単位の話です。

一方で、2段階上がって括りをまたぐと、ベース給の水準そのものが変わります。 表で言えば、コンサルタント(約840万円)からマネージャー(1,100万円台)へ移るような段差です。ここで数百万円動きます。

私自身、新卒入社から4年でマネージャーになりましたが、年収が「跳ねた」という感覚があったのは、この括りをまたぐタイミングだけでした。逆に言えば、同じ括りの中にいる間は、何年在籍しても給与は大きくは動きません。

「アクセンチュアなら20代で年収1,000万円」という話をよく見ますが、これはマーケティングコピーではなく、等級が上がれば構造的にそうなるというだけの話です。そして上がらなければ、そうはなりません。ここを混同して入社すると、2〜3年目で「思っていたのと違う」となります。

新卒の初任給と「標準年収」の読み方

ここは推測が不要な領域です。アクセンチュアは新卒の募集要項で、職種ごとの金額を3段階に分けて公開しています。

そして、この3段階を区別していないことが、ネット上の初任給情報が食い違っている原因です。

職種別の標準年収・基本年収・基本月給

2027年卒の募集要項に記載されている金額です。

職種

標準年収

基本年収

基本月給

戦略コンサルタント職

756.0万円

550.9万円

459,084円

ビジネスコンサルタント職

666.0万円

480.0万円

400,000円

デジタルコンサルタント職

666.0万円

480.0万円

400,000円

マーケティング職

666.0万円

480.0万円

400,000円

戦略コンサルタント職だけが1段上に置かれていて、他の3職種は同額です。入口で90万円の差があります。

新卒で標準年収756万円という水準は、日系大手と比べればかなり高い部類に入ります。ただしこの数字をそのまま「もらえる額」として読むのは正確ではありません。

標準年収の205万円は何でできているか

戦略コンサルタント職で、標準年収756.0万円に対して基本年収は550.9万円。差が205.1万円あります。ビジネスコンサルタント職でも、666.0万円と480.0万円で186.0万円の差。

この差の中身は、募集要項に明記されています。時間外勤務手当、住宅手当、賞与です。

標準年収 756.0万円
 ├ 基本年収 550.9万円(基本月給 459,084円 × 12)
 └ その他 205.1万円
    ├ 時間外勤務手当
    ├ 住宅手当
    └ 賞与

ここで重要なのは、205万円のうちに残業代が含まれていることです。

標準年収という言葉は「標準的に働いた場合の想定額」という意味です。だから一定の残業時間が前提として織り込まれています。残業がゼロなら、標準年収には届きません。

逆に言えば、この数字は「年収がいくらか」だけでなく「どれくらい働く前提か」も示しています。年収を判断するときは、必ず労働時間とセットで見てください。働き方の実態はアクセンチュアは激務なのかで別途整理しています。

住宅手当が含まれている点も見落とされがちです。これは支給条件があるタイプの手当なので、条件を満たさなければその分が入りません。 募集要項の注記を必ず読んでください。

ネット上の初任給が「月36万」「月40万」とバラつく理由

アクセンチュアの初任給を検索すると、サイトによって数字が違います。「月額36万円・年収430万円」と書いているところもあれば、「月額40万円・年収663万円」と書いているところもある。

原因はこの3層構造です。

ネット上の記載

実際に参照している数字

年収430万円

古い年度の基本年収

月額40万円

ビジネスコンサルタント職の基本月給

年収663万円

ビジネスコンサルタント職の標準年収(666万円)

年収756万円

戦略コンサルタント職の標準年収

どれも間違いではなく、どの層を見ているかが違うだけです。そして職種によっても違う。

だから初任給の数字を見たときは、次の3つを確認してください。

1つ目。どの職種の数字か。 戦略コンサルタント職とそれ以外で90万円違います。

2つ目。標準年収か基本年収か。 185〜205万円違います。

3つ目。何年卒の募集要項か。 毎年改定されます。

年代別の目安と、30歳時点のモデル

等級ではなく年齢で見たい人向けに、別の切り口も置いておきます。

年齢

年収の目安

標準的な等級

25歳

571〜700万円

アナリスト

30歳

800〜1,000万円

コンサルタント

35歳

1,100〜1,400万円

マネージャー

40歳

1,500〜2,000万円

シニアマネージャー

45歳以上

2,000万円〜

マネージングディレクター

ただし繰り返しになりますが、この対応は保証されたものではありません。 35歳でコンサルタントの人もいれば、32歳でマネージャーの人もいます。年齢と等級が自動で連動しないのがこの会社の設計であり、それが良くも悪くも効いてきます。

30歳で800〜1,000万円は、どういう状態か

800〜1,000万円というレンジは、コンサルタント等級の中にいる状態です。新卒入社なら8年目前後、中途入社ならコンサルタント等級でオファーを受けて数年、という位置づけになります。

ここで分かれ目になるのが、アソシエイトマネージャーが見えているかどうかです。

コンサルタントの上はアソシエイトマネージャー(900〜1,000万円台)、その上がマネージャー(1,100万円台〜)。30歳時点でコンサルタント等級の上のほうにいる人は、2〜3年でマネージャーの射程に入ります。 下のほうにいる場合は、そこからもう一段必要です。

私が新卒入社から4年でマネージャーになったのは、標準より速いペースでした。ただこれは珍しいことではなく、この会社では昇格スピードの個人差がかなり大きいというだけの話です。同期でも、同じ時期にアナリストのままの人とマネージャーになった人が両方いました。

だから「30歳で何万円か」という質問には、本当は答えが1つではありません。30歳時点でどの等級にいるかがすべてです。

部門と職種による差

同じアクセンチュアでも、どこに所属するかで年収レンジが変わります。そしてこれが、全社平均が低く見える直接の理由でもあります。

職種別で見ると、平均の正体が分かる

転職口コミサイトの職種別集計を並べます。全体平均は878万円(回答3,974名・平均年齢32歳)です。

職種

平均年収

全体平均との差

戦略

1,459万円

+581万円

マネージャー

1,177万円

+299万円

コンサルタント

957万円

+79万円

テクノロジー

860万円

−18万円

管理

806万円

−72万円

営業

673万円

−205万円

エンジニア・SE

661万円

−217万円

アナリスト

582万円

−296万円

事務

551万円

−327万円

マネージャークラスの1,177万円は、外資系やグローバル企業の同じ職位と比べて突出して高いわけではない。横並びの求人条件を確認しておく(現在の年収700万円以上・課長クラス以上が対象)。

一番下の4つを見てください。 エンジニア・SE、営業、アナリスト、事務。この層が全体平均を大きく引き下げています。

一方でコンサルタントは957万円、戦略は1,459万円。コンサル職として入る人にとって、全体平均の878万円はまったく参考になりません。

ここで前章の話に戻ります。ベイカレントの平均1,331万円は、全員がコンサルタントの集団の数字です。アクセンチュアのコンサルタント957万円・戦略1,459万円と比べれば、同じ土俵に乗ります。 866万円や878万円と比べていたのが間違いでした。

なお、この集計でディレクター職は他の職種と比べて不自然に低く出ます。回答数が少ないか、「ディレクター」という呼称が複数の意味で使われている可能性が高いので、その行は参考程度に見てください。口コミ集計はこういう揺れが出ます。

部門別で見ると、さらに差がある

職種とは別に、どの事業部門に所属するかという軸もあります。

部門

平均年収の目安

レンジ

ストラテジー&コンサルティング(S&C)

約1,399万円

800万〜3,000万円以上

コンサルティング(一般)

約947万円

600〜2,500万円

テクノロジー

約700〜1,200万円

480〜2,000万円

インタラクティブ(ソング)

約800〜1,100万円

500〜1,800万円

S&Cとテクノロジーでは、平均で見ても倍近い差があります。

転職を考えるなら、「アクセンチュアに入るか」より「どの部門に入るか」のほうが、年収への影響が大きいということです。求人に応募するとき、募集ポジションがどの部門のものかを確認しないまま進める人がかなりいますが、ここは必ず見てください。

もっとも、レンジの下限と上限の重なりも大きいので、テクノロジー部門だから頭打ちということではありません。あくまで分布の話です。私がいたのは業界横断でデジタル変革を支援する部門でしたが、同じ部門の中でも案件によって見える世界はかなり違いました。

866万円という数字の寿命

冒頭で挙げた866万円は、広く引用されている値です。一方で、同じ口コミサイトの現在の集計は878万円になっています。12万円動いている。

口コミサイトの平均は、投稿が増えるたびに更新されます。そして人員構成が変われば給与テーブルが変わらなくても動きます。

つまり「アクセンチュアの平均年収は◯◯万円」と書いてある記事を見たときは、それがいつ時点の集計かを確認する必要があります。数字が1つに定まらないことこそが、この会社の年収を調べるうえでの前提です。

給与の構成と、昇給・賞与の決まり方

年収の「中身」も押さえておく必要があります。

項目

内容

給与形態

年俸制。12分割で毎月支給

賞与

業績賞与。会社業績と個人評価で変動

残業代

マネージャー未満は全額支給。マネージャー以上は年俸に含まれる

残業代の実額目安

月8万円前後(口コミ集計)

新卒の基本年収

ビジネスコンサルタント職480万円/戦略コンサルタント職550.9万円

新卒の標準年収

ビジネスコンサルタント職666万円/戦略コンサルタント職756万円

評価会議で何が決まるか

昇給と賞与は、年1回の評価会議で決まります。

ここで決まるのは金額だけではありません。等級を上げるかどうかも、この場で決まります。 つまり年収が動くタイミングは、原則として年に1回しかない。

評価会議で材料になるのは、その年に関わった案件での評価です。そしてアクセンチュアの場合、1年のうちに複数の案件を回ることが普通なので、特定の上司1人の評価で決まるわけではありません。関わった複数のマネージャー・シニアマネージャーの見方が持ち寄られます。

マネージャーになってからは、私もこの場にメンバーの評価を持っていく側になりました。そこで実感したのは、「何をやったか」より「どう語られるか」で差がつくということです。

同じアウトプットでも、案件を一緒にやったマネージャーが具体的なエピソードで説明できる人と、「真面目にやっていました」で終わる人がいます。前者のほうが通ります。これは評価者の怠慢という話ではなく、短期間で入れ替わる案件の中で、自分の仕事を相手の言葉に残せているかという話です。

マネージャー昇格のときに起きること

アナリストからアソシエイトマネージャーまでは、働いた時間がそのまま残業代として支払われます。月8万円前後が上乗せされている人も珍しくありません。ところがマネージャーに上がると裁量労働になり、残業代が年俸に含まれます。

つまり、ベース年俸は確かに上がるのに、繁忙期の総支給額で見ると思ったほど増えていない、という時期が発生しうるということです。年俸だけを比較して「昇格したのに」と感じる人がいるのは、ここが理由です。

これは制度の欠陥ではなく、責任の持ち方が変わることに対応した設計です。ただ、知らずに昇格すると戸惑います。中途で入る場合も、オファーされる等級がこの境目の上か下かは必ず確認してください。

新卒の標準年収に時間外勤務手当が含まれていたのと、構造としては同じ話です。アクセンチュアの給与は、どの等級でも「年収の中に労働時間が織り込まれている」と理解しておくと読み違えません。

中途入社の提示額は何で決まるのか

中途の提示額を決めるのは、ほぼオファーされる等級です。前職の年収は参考情報にすぎません。

ここで多くの人が交渉の仕方を間違えます。「前職より上げてほしい」と同じ等級のレンジ内で交渉しても、動く幅は限られています。そうではなく、「ひとつ上の等級で選考を受けられないか」を、選考の早い段階で確認するほうが効きます。 等級が1つ違えば、数百万円動くからです。

受け入れる側は何を見て等級を決めていたか

ここからは、中途入社者を受け入れる側にいたときの話です。面接に出て、この人をどの等級で迎えるかを判断する側にいました。

判断の軸は、突き詰めるとひとつ上の等級の仕事を、入社直後から回せるかでした。

少し説明します。等級を決めるとき、「今のレンジで十分な人」と「一段上でも回せそうな人」を比べているわけではありません。見ているのは、この人を一段上で入れた場合、周囲が困らないかです。コンサルタント等級で入れるかアソシエイトマネージャー等級で入れるかは、「この人にチームを持たせて大丈夫か」という問いに置き換わります。

だから実務で効いたのは、次の3点でした。

① マネジメント経験の有無と規模

何人のチームを、どれくらいの期間持ったか。5人×3か月と、20人×2年では評価が違います。「メンバーだったが実質的にリードしていた」という状態も、具体的に語れるなら評価対象になります。 役職名がなくても構いません。誰を、どう動かしたかが言えるかどうかです。

② コンサル経験の有無

事業会社出身の場合、同じ職責でもやや下の等級から入るケースが多い。これは能力の評価ではありません。プロジェクト運営の作法に慣れる期間を見込んでいるためです。

受け入れ側から見ると、ここは実務的な判断でした。案件の進め方、資料の粒度、クライアントとの距離の取り方。慣れるのに数か月かかります。その期間を織り込んで等級を決めている、というだけです。裏返せば、入社後の昇格スピードで取り返せる部分でもあります。実際、事業会社出身で入って2年以内に上がった人を何人も見ています。

③ 専門領域の希少性

SAP、クラウド、データ基盤、特定業界の業務知識。この種の希少性がある場合、等級が一段上がることがあります。「コンサル未経験だから下から」という一般則が、ここで崩れます。

受け入れ側の事情を言うと、その領域の案件が動いていて人が足りないときに、この判断が出ます。つまりタイミングの要素があります。同じ経歴でも、半年ずれれば結果が変わることはありました。

職務経歴書で等級が変わることは、実際にある

事業会社出身で等級を下げたくない場合、いちばん効くのは「課題→分析→打ち手→成果」の構造で語れる案件を3つ用意しておくことです。

これは精神論ではありません。受け入れ側は、職務経歴書と面接での説明から「この人はプロジェクトを構造で捉えているか」を見ています。業務の羅列だと、それが見えない。同じ経験でも、構造で書かれていれば一段上で検討できます。

選考の進み方と、どの段階で等級が固まるのかはアクセンチュアの就職難易度で整理しました。未経験から狙う場合の組み立ては未経験からのコンサル転職、第二新卒の場合は第二新卒からのコンサル転職が参考になります。

転職で年収が下がるケース

ここは正直に書いておきます。アクセンチュアへの転職で、年収が下がることはあります。

1つ目。事業会社の管理職から、コンサルタント等級で入る場合。 前職で部長クラスだった人が、コンサル未経験という理由でコンサルタント等級から入ると、一時的に下がることがあります。等級が上がれば戻りますが、1〜2年のタイムラグが発生します。

2つ目。前職の年収に、固定的な手当が多く含まれていた場合。 住宅手当や役職手当が厚い会社から移ると、ベース年俸で比べたときに見劣りすることがあります。総額で比較してください。

3つ目。マネージャー以上で入る場合の、残業代の扱い。 前職で残業代が全額出ていた人がマネージャー等級で入ると、年俸は上がっても総支給額では変わらない、ということが起こります。

いずれも提示額の中身を確認すれば事前に分かります。 オファー面談で、ベース年俸・賞与の想定・残業代の扱いを分けて聞いてください。この3つを分けずに「年収いくらですか」と聞くと、入社後に認識がずれます。

年収を上げる3つの経路

入社後に年収を上げる方法は、実質的に3つしかありません。効果の大きい順に書きます。

経路①:入社時の等級を1つ上げる(最もレバレッジが高い)

意外に思われるかもしれませんが、いちばん効率がいいのはここです。

入社後に1等級上げるには、通常1〜3年かかります。一方、選考の段階で1つ上の等級を狙うのは、職務経歴書の書き方と、応募するポジションの選び方で変わりうる。同じ結果を、数年ではなく数週間で得られる可能性があるということです。

具体的には、募集ポジションの等級を確認し、自分の経験が届きうる上限のポジションに応募する。届かなければ下のポジションを提案されるだけで、失うものはありません。

経路②:等級を2段階上げる

入社後の王道です。ただし前述のとおり、1段階では大きく動きません。括りをまたぐ2段階を目標に置いてください。

そのために必要なのは、評価されるプロジェクトに入ることと、その中で自分の担当範囲を明示できることです。ここは案件の巡り合わせにも左右されるので、完全に自分でコントロールはできません。

経路③:希少性の高い領域に寄せる

部門別の表で見たとおり、S&Cとテクノロジーでは分布が違います。社内異動や、担当領域を専門化していくことで、レンジの上のほうに移動する余地があります。

ただしこれは時間がかかります。短期で効くのは①、中期で効くのが②、長期が③、という順番で考えるのが現実的です。

他のコンサルファームと比べてどうか

平均年収での比較も置いておきます。

ファーム

平均年収の目安

ボストン コンサルティング グループ

約1,565万円

A.T.カーニー

約1,371万円

マッキンゼー・アンド・カンパニー

約1,366万円

ベイカレント

1,331万円

デロイト トーマツ コンサルティング

約956万円

アクセンチュア

約866万円

平均だけを見ると、アクセンチュアは戦略ファームより明確に低く出ます。

ただしこれは、社員構成の違いがそのまま出ている数字です。戦略ファームは人数が少なく、上位等級の比率が高い。アクセンチュアは規模が大きく、若手層とテクノロジー領域の比率が高い。だから平均が下がります。

アクセンチュアのコンサルタント職957万円・戦略職1,459万円と並べれば、見え方が変わります。 マネージャー以上に限定して比べると、差はかなり縮まります。「戦略ファームのほうが年収が高い」は、キャリア全体で見れば必ずしも正しくありません。

判断材料として使うなら、平均ではなく「自分が入る等級のレンジ」と「そこから上がる速さ」で比較してください。IT領域に絞った年収の考え方はITコンサルの年収はどう決まるかにまとめています。

福利厚生は、年収と二重に数えない

福利厚生について、アクセンチュア特有の注意点がひとつあります。

一部の手当が、すでに年収の中に組み込まれています。 新卒の標準年収に住宅手当が含まれていたのが、その例です。

つまり「年収756万円で、さらに住宅手当がある」のではなく、「住宅手当を含めて756万円」です。他社と比較するとき、ここを二重に数えると実態より良く見えてしまいます。

そのうえで、福利厚生を見るときに確認すべきなのは次の3つです。

利用条件。 勤続年数や等級の要件があるか。入社直後から使えるとは限りません。

金額の上限。 住宅手当にせよ研修補助にせよ、支給条件と上限があります。

実際に使えるか。 制度があっても、案件の状況で使いにくい時期はあります。これは選考の過程で現場の社員と話す機会があれば聞ける内容です。

年収だけで決めると、見落とすもの

ここは正直に書きます。

在籍して良かったと感じたのは、実は年収ではありませんでした。風通しの良さです。

ロジックさえ通っていれば、若手でも裁量を持って進めさせてもらえる。役職や年次を理由に意見が却下される場面は、私の4年間ではほとんどありませんでした。1年目のアナリストの提案が、そのままクライアントへの提案の骨格になることもあります。これは規模の大きい組織としては、かなり珍しい部類だと思います。

一方でしんどかったのは、プロジェクトの状況によって長時間働く時期があることです。通常期は1日2〜3時間の残業で定時退社もありましたが、繁忙期は月80時間近くまで行くこともありました。ここは避けられません。

ただ、その時期に踏ん張れると昇進が見えてくる、という構造にはなっていました。きつい時期と等級の上昇が連動している。 これを納得できるかどうかが、この会社との相性だと思います。

だから、年収を判断材料にするなら、いまの提示額ではなく3年後に自分がどの等級にいる絵が描けるかで見てください。それが描けないなら、入社時の年収差は一時的なものになります。

退職後にどういう選択肢があるかはポストコンサルの進路で整理しました。アクセンチュアを「通過点」として見るなら、こちらも合わせて読んでください。

よくある質問

Q. アクセンチュアの平均年収はいくらですか?

転職口コミサイトの集計で866万〜878万円とされています。ただしこれはエンジニア・SE、営業、事務を含む全社平均です。コンサルタント職だけなら957万円、戦略職なら1,459万円になります。

Q. 新卒の年収はいくらですか?

公式の2027年卒募集要項で、戦略コンサルタント職が標準年収756.0万円(基本年収550.9万円)、ビジネスコンサルタント職・デジタルコンサルタント職・マーケティング職が標準年収666.0万円(基本年収480.0万円)です。標準年収には時間外勤務手当・住宅手当・賞与が含まれます。

Q. 残業代は出ますか?

アナリストからアソシエイトマネージャーまでは全額支給されます。マネージャー以降は裁量労働となり、年俸に含まれる形になります。月額では8万円前後が上乗せされているという集計があります。

Q. 何年でマネージャーになれますか?

標準的には5〜10年目とされています。私は新卒入社から4年でしたが、これは早いほうです。案件と評価の巡り合わせに左右されるため、年数だけで測れる部分ではありません。

Q. 年収が下がることはありますか?

等級が下がることは通常ありませんが、評価によって賞与部分は変動します。また、残業代が支給される等級から裁量労働の等級に上がる際、繁忙期の総支給で見ると増加幅が小さく感じられることがあります。

Q. 中途入社だと年収は下がりますか?

事業会社出身の場合、やや下の等級から入るケースが多いため、一時的に下がることはあります。ただし昇格スピードで取り返す設計になっているので、入社時点の額だけで判断しないほうがいいです。

Q. ベイカレントとどちらが年収が高いですか?

全社平均で比べるとベイカレント(1,331万円)が上に出ますが、ベイカレントは全員がコンサルタント職、アクセンチュアは全職種を含む数字です。コンサル職同士で比べると差はかなり縮まります。

CL別のレンジが分かったら、次は自分の経歴でどこまで提示されるかだ。提示条件つきのハイクラス求人を見る(現在の年収700万円以上が対象)。

まとめ

  • 平均年収866万円はエンジニア・営業・事務を含む全社平均。コンサルタント職だけなら957万円、戦略職なら1,459万円

  • 集計元によって866万〜1,268万まで振れる。アクセンチュアには有価証券報告書がないので公式の値が存在しない

  • 等級は11段階(CL)。1つ上がっても大きくは動かず、2つ上がって括りをまたぐと水準が変わる

  • 最大の段差はコンサルタント(約840万円)とマネージャー(1,100万円台)の間

  • 新卒は標準年収756万/666万。ただし185〜205万円は残業代・住宅手当・賞与。基本年収は550.9万/480万

  • マネージャー昇格で裁量労働になり、残業代の扱いが変わる。総支給の増え方に注意

  • 中途の提示額は前職年収ではなくオファー等級で決まる。交渉すべきはレンジではなく等級

  • 年収を上げる最短経路は、入社後の昇格ではなく入社時の等級を1つ上げること


山口翔太

2017年にアクセンチュアへ新卒入社。業界横断でデジタル変革を支援する部門に所属し、アナリストからマネージャーまでの4年間を過ごす。在籍中は中途入社者を受け入れる側にも立つ。2021年に退職。


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