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2026/09/16

ITコンサルの年収はどう決まるか|元アクセンチュアが、職位・上がり方・落とし穴を解説する 

山口翔太

本記事には広告(プロモーション)が含まれます。

この記事は、アクセンチュアに2017年から2021年まで在籍した山口翔太が書いています。業界横断でデジタル変革を支援する部門で、アナリストからマネージャーまでを経験しました。在籍中は中途入社者を受け入れる側にもいたので、どういう提示額が出て、応募者がどこで判断を誤るかを見ています。

仕事の中身そのものはITコンサルへの転職に書いたので、ここではお金の話だけをします。

結論:ITコンサルの年収は、職位でほぼ決まる

いちばん最初に押さえるべきはここです。

ITコンサルの年収は、前職の年収からの積み上げではありません。入社時にどの職位で採用されるかで、ほぼ決まります。

事業会社の中途採用なら「前職が◯◯万円なので、それを踏まえて」という交渉が成立します。コンサルファームは違います。職位ごとにレンジが決まっていて、同じ職位なら前職が何であれ同じ帯に入ります。

これは応募者にとって、有利にも不利にも働きます。

  • 有利:前職が低くても、職位が上なら一気に上がる

  • 不利:前職が高くても、職位が下なら下がる

だから交渉すべきは金額ではなく、職位です。 ここを理解していないと、交渉自体が空振りします。

職位別の水準

各社の公開情報や求人情報を集計すると、おおむね次のような帯で提示されています。会社差・個人差が大きいので、レンジの幅そのものが情報だと思って見てください。

職位

経験の目安

提示される帯

アナリスト/ジュニア

新卒〜3年目

450〜700万円

コンサルタント/シニアアナリスト

3〜5年目

600〜900万円

シニアコンサルタント

5〜8年目

800〜1,200万円

マネージャー

8年目〜

1,000〜1,500万円

シニアマネージャー以上

—

1,400万円〜

注意点が2つあります。

ひとつは、職位の呼び名が会社ごとに違うこと。「コンサルタント」がどの階層を指すかは会社によってずれます。求人票の職位名だけで比べても意味がないので、「その職位の上下には何があるか」を面接で確認してください。

もうひとつは、帯の下限と上限で1.5倍ほど違うこと。同じ職位でも、どこに置かれるかで数百万円変わります。ここが交渉の余地です。

「思ったより低い」と感じる人が多い、3つの理由

提示を見て「コンサルなのにこんなものか」と感じる人は珍しくありません。理由はだいたいこの3つです。

① 残業代の扱いが会社によって違う

提示される年収に、どこまでが含まれているかは会社によって違います。一定時間分の残業が含まれる形になっている場合、その時間までは働いても額面は増えません。

「額面は上がったのに、時間で割ったら前職と変わらなかった」という感想は、実際によく聞きました。額面だけで比べないでください。

② 賞与の比重が大きく、しかも変動する

年収の提示には、業績と評価で変動する部分が含まれていることが多いです。想定どおりに出る年もあれば、出ない年もあります。

新卒でも中途でも、初年度は評価期間が短いぶん、提示の満額に届かないことがある点は知っておいたほうがいいです。

③ 稼働が増える

これがいちばん大きい。年収が20%上がっても、稼働が40%増えれば時間単価は下がります。

私の実感として、転職の判断は額面ではなく時間単価でするべきです。 そのうえで「この時間を投資して、数年で職位を上げる」と決められるなら、その転職は合理的です。

年収を上げる方法は、実質ひとつしかない

在籍中に見ていた限り、ITコンサルで年収を上げる方法は「職位を上げる」だけでした。同じ職位にとどまったまま上がる幅はごく小さい。

そして職位を上げるために見られているのは、「一段上の仕事をすでにやっているか」です。今の職位の仕事を完璧にこなしても上がりません。ここは事業会社と発想が違うところで、「昇進してから範囲が広がる」のではなく「範囲を広げてから昇進する」という順番になります。

具体的には、こういう動きをしていた人が上がっていました。

  • 論点を自分で立てる。 指示されたタスクの外側にある問題を先に見つけて持ち込む

  • クライアント側の意思決定者と直接話す。 間に人を挟まない関係を作る

  • 人を動かす実績を作る。 自分がやるより、誰かにやってもらった仕事の量で評価が変わる

逆に、アウトプットの品質だけで勝負している人は、職位が上がりにくかったです。品質は前提であって差分にならないからです。

他の職種と比べてどうか

前職別に、何が起きるかを整理します。

前職

額面

時間単価

数年後の伸びしろ

SIer(中堅〜大手)

上がることが多い

横ばい〜やや下がる

大きい

社内SE(上位企業)

下がることもある

下がる

大きい

社内SE(中小)

上がる

横ばい

大きい

事業会社の企画職

職位次第

下がる

大きい

注目すべきは、どの前職でも「数年後の伸びしろ」だけは大きいことです。逆に言うと、入った直後の条件で得をする転職ではありません。 数年で職位を上げる前提でなければ、割に合わない可能性があります。

SIerや社内SEからの転職を考えている場合は、その前職側の事情も確認しておいたほうがいいです。

ファームによる差

同じ職位でも、会社によって水準は違います。ただし「どこが高いか」より「どこが自分の職位を高く見てくれるか」のほうが効きます。

というのも、A社でコンサルタント、B社でシニアコンサルタントと評価されるなら、B社の水準が多少低くても、B社のほうが提示は高くなるからです。複数受けたほうがいいのは、比較のためというより自分がどの職位で見られるかを確かめるためです。

主要2社の年収については、それぞれ在籍していた人間が書いています。

入社時に年収を最大化する、実際の順番

実務的な話をします。順番が大事です。

1. 先に、複数社の選考を並行で進める

1社だけだと、その会社が付けた職位が正しいのか判断できません。2〜3社から職位の評価をもらって初めて、自分の相場がわかります。

2. 提示が出たら、金額ではなく職位に言及する

「◯◯万円にしてほしい」は通りにくいですが、「他社では一段上の職位で話が進んでいる」は検討の対象になります。事実である場合に限りますが、これがもっとも効きます。

3. レンジ内の位置は、担当できる領域で押す

職位が動かない場合でも、帯の中の位置は動く余地があります。ここで効くのは「入社直後から一人で回せる領域があるか」です。ERP導入の経験、特定業界の業務知識、特定の技術領域——すぐ案件に入れる材料を具体的に出せると変わります。

4. 最後に、時間単価で確認する

提示に残業がどこまで含まれるか、想定稼働はどれくらいかを聞いてください。聞きにくい質問ではありません。 むしろ、これを聞かない応募者のほうが入社後に不満を持ちます。

辞めたあと、年収はどうなるか

ITコンサルは数年で次に移る人が多い仕事です。出た先で年収がどうなるかまで含めて考えたほうが、判断を誤りません。

おおまかな傾向はこうでした。

  • 事業会社のIT・DX推進へ → 額面は下がることが多い。ただし稼働が大きく減るので、時間単価は上がりやすい

  • 他ファームへ職位を上げて移る → もっとも額面が上がりやすい

  • 事業会社の事業側へ → 職位次第。マネジメント職で入れるかどうかで大きく変わる

つまり、ITコンサルで上げた「職位」は、外に出ても効きます。 ここが、この仕事に数年入る経済的な意味です。

→ ポストコンサルの進路

よくある質問

Q. 未経験で入ると年収はどれくらい下がりますか

下がるとは限りません。下がるのは「上位企業の社内SEや事業会社から、下の職位で入る場合」です。SIerからの転職では上がることのほうが多い印象でした。ポイントは前職の年収ではなく、付けられる職位です。

Q. 年収1,000万円には何年で届きますか

マネージャー級に上がるかどうかで決まります。順調なケースで、コンサル歴7〜8年前後というのが一般的な目安です。ただしここは個人差よりアサイン差のほうが大きく、同期でも数年ずれます。

Q. 年収が高い領域はありますか

領域そのものの差より、需要が逼迫している領域にいると職位が上がりやすいという形で効きます。人が足りない領域では、早く責任範囲が広がるからです。

Q. 中途入社だと不利ですか

職位の付き方では不利になりません。ただし昇進のスピードでは、社内の評価の作法に慣れるまでの時間がハンデになります。 入社後半年で「誰に何を見せれば評価されるか」を把握できるかどうかが分かれ目でした。

まとめ

ITコンサルの年収について、判断の順番を整理します。

  1. 職位で決まる。 前職年収は効かない。交渉するのは金額ではなく職位

  2. 額面ではなく時間単価で比べる。 残業の扱いと想定稼働を必ず聞く

  3. 上がる方法は職位を上げることだけ。 そのために「一段上の仕事を先にやる」

  4. 複数社受ける。 比較のためではなく、自分がどの職位で見られるかを知るため

  5. 出口まで見る。 ここで上げた職位は、外に出ても効く

入った直後の条件で得をする転職ではありません。 数年かけて職位を上げ、その職位を持って次に行く——その前提に納得できるなら、経済的には合理的な選択だと思います。

私は4年で辞めましたが、そのとき持っていた職位が、その後の選択肢を決めました。年収そのものより、職位を取りに行ったことのほうが効いたというのが実感です。

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