ベイカレントの平均年収は1,331万円です。平均年齢31.3歳、平均勤続年数3.8年(2026年2月期・有価証券報告書)。
ネット上では「1,350万円」という数字がよく出てきます。これは1期前、2025年2月期の値です。最新期では1,331万円に下がっています。
ただ、これを「業績が悪化した」と読むと逆になります。下がった理由は、むしろ会社が急拡大したことにあります。
私は2019年にベイカレント・コンサルティングへ新卒で入社し、2023年まで在籍しました。アナリストからコンサルタントまでを経験し、IT領域と流通領域の案件を担当しています。
正直に書きますが、私が在籍していた4年間、平均年収は1,100万円前後で、ほとんど動きませんでした。 1,350万円まで跳ね上がったのは、私が辞めた後の期です。だからその急騰そのものを社内から見たわけではありません。
それでも、この記事を書ける理由があります。跳ねた原因も、その後わずかに下がった原因も、社員構成の変化として説明がつくからです。 そして社員構成が年収にどう効くかは、中にいた4年間で何度も見てきました。
この記事では、まず1,331万円という数字の位置づけを整理し、役職別・年代別のレンジを置いたうえで、中途で入る場合に自分がどのレンジに入るのかまで落とします。
平均年収1,331万円(2026年2月期)という数字の位置づけ
最初に押さえておきたいのは、この1,331万円がどうやって算出された数字なのかです。ここを飛ばすと、自分の年収との距離を読み間違えます。
有価証券報告書に載る「平均年間給与」は、その事業年度に在籍した従業員へ実際に支払われた給与の平均です。賞与も含みます。つまり理論値ではなく、実額の平均です。
一方で、これは期中に入社した人も分母に入るという性質を持っています。この点が後で重要になります。
6年間の推移と、2025年2月期に跳ねた理由
決算期 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|
2021年2月期 | 1,102万円 | 32.9歳 | 3.9年 |
2022年2月期 | 1,107万円 | 32.6歳 | 3.8年 |
2023年2月期 | 1,118万円 | 32.1歳 | 3.5年 |
2024年2月期 | 1,074万円 | 31.4歳 | 3.2年 |
2025年2月期 | 1,350万円 | 31.2歳 | 4.0年 |
2026年2月期 | 1,331万円 | 31.3歳 | 3.8年 |
見ていただきたいのは、2024年2月期から2025年2月期の1年で、1,074万円から1,350万円へ276万円上がっている点です。率にすると25.7%。1年でこの上がり方は、通常の昇給では起こりません。
私が在籍していたのは2021年2月期から2023年2月期にかけての時期です。表の上3行がそれに当たります。1,102万円、1,107万円、1,118万円。ほぼ動いていません。 当時の感覚としても、年次で自動的に上がるという実感はありませんでした。上がるのは昇格したときだけでした。
では2025年2月期に何があったのか。公開情報から読み取れる要因は2つです。
ひとつは報酬水準そのものの引き上げです。この時期、コンサルティング業界全体で人材獲得競争が激化していました。ベイカレントは社名変更とあわせて採用を大幅に拡大しています。人を採るために報酬レンジを上げる必要があった、という説明は整合します。
もうひとつは平均勤続年数の回復です。3.2年から4.0年へ戻っています。勤続年数が伸びるということは、在籍が長い、つまり役職が上がった層の比率が上がったということです。これは平均を押し上げます。
なぜ1,350万円から1,331万円に下がったのか
そして最新の2026年2月期で、1,350万円から1,331万円へ19万円下がりました。率にすると1.4%です。
ここで注目すべきは給与の数字ではなく、平均勤続年数が4.0年から3.8年に縮んでいることです。
平均年齢はほぼ変わっていません(31.2歳→31.3歳)。年齢が変わらないのに勤続年数だけが短くなるのは、同じくらいの年代の人が、新しく大量に入ってきたということです。つまり中途採用の流入です。
そしてここで、さきほどの「期中入社者も分母に入る」という性質が効いてきます。
たとえば10月に入社した人は、その事業年度に支払われた給与が5か月分しかありません。その人の実額が分母に入るので、採用を急拡大した期は、必然的に平均年間給与が下振れします。 個々人の年収が下がったわけではなく、計算の母集団が変わったということです。
なので1,331万円という数字は、年収水準が下がったサインではなく、採用が伸びているサインとして読むほうが実態に近いと考えています。
ただし、ここは断定を避けます。私は2023年に退職しているので、2026年2月期の社内で何が起きていたかを見ていません。有価証券報告書の算定方法から説明できる範囲での解釈です。
他ファームと比べるときの、意外な落とし穴
年収比較の記事はどこにでもありますが、比較の土台が揃っていないことがほとんどです。
ファーム | 平均年収 | 平均年齢 | 出典の種類 |
|---|---|---|---|
ボストン コンサルティング グループ | 約1,565万円 | — | 口コミ集計 |
A.T.カーニー | 約1,371万円 | — | 口コミ集計 |
マッキンゼー・アンド・カンパニー | 約1,366万円 | — | 口コミ集計 |
ベイカレント | 1,331万円 | 31.3歳 | 有価証券報告書 |
デロイト トーマツ コンサルティング | 約956万円 | — | 口コミ集計 |
アクセンチュア | 約866万円 | 約33歳 | 口コミ集計 |
右端の列を見てください。この表の中で、有価証券報告書に基づく数字はベイカレントだけです。
理由は単純で、ベイカレントは東証プライム上場企業だからです。上場企業には有価証券報告書の提出義務があり、そこに平均年間給与を記載する必要があります。一方で外資系ファームの日本法人や、デロイト、アクセンチュアは日本で上場していないため、この開示義務がありません。
つまり他社の数字は、転職口コミサイトに投稿された自己申告の集計値です。回答者の偏りが入ります。年収に満足している人ほど投稿しやすい、逆に不満な人ほど投稿するなど、どちらに偏るかも分かりません。
これは「他社の数字が嘘」という話ではありません。性質の違う数字を同じ表に並べて優劣を語ることに、あまり意味がないということです。
そのうえで、比較でもうひとつ見落とされやすいのが平均年齢です。ベイカレントの31.3歳に対して、アクセンチュアは33歳前後とされています。2歳違えば、役職の分布が変わります。 年齢を揃えずに平均年収だけを並べると、若い会社が不利に、あるいは有利に見えます。
アクセンチュアとの違いをもう少し踏み込んで整理したものは、ベイカレントとアクセンチュアはどっちがいいのかにまとめました。年収以外の判断軸も含めて比較しています。
役職別の年収レンジ
ベイカレントの年収は、職位で決まります。 年次で自動的に上がる仕組みではありません。
在籍していた4年間で一番はっきり実感したのがここでした。同じ部署で同じような案件をやっていても、職位が1つ違えば年収は200万円以上違います。逆に、勤続年数が長くても職位が変わらなければ、ほとんど動きません。
公開されている情報を集計すると、職位別のレンジはおおよそこうなります。
職位 | 年収レンジ | 到達の目安 |
|---|---|---|
アナリスト | 500〜650万円 | 1〜3年目 |
コンサルタント | 700〜1,000万円 | 3〜7年目 |
シニアコンサルタント | 1,000〜1,300万円 | 6〜10年目 |
マネージャー/エキスパート | 1,300〜1,500万円 | 10〜15年目 |
シニアマネージャー/シニアエキスパート | 1,500〜1,800万円 | 15〜20年目 |
パートナー/エグゼクティブパートナー | 2,000万円〜 | 20年目〜 |
マネージャー以上のレンジになると、求人が公開市場に出てくることはほとんどない。同じ水準のポジションがどんな条件で動いているかは、外資・グローバル企業のハイクラス求人で確認できる(現在の年収700万円以上が対象)。
先に断っておくと、私が実際に経験したのはアナリストとコンサルタントまでです。 シニアコンサルタント以上は、同じチームにいた上位職位の人を下から見ていた範囲になります。レンジ自体は公開データの集計値です。
アナリスト・コンサルタント・シニアコンサルタント
アナリストは入社1〜3年目です。500〜650万円のレンジ。新卒入社の場合、募集要項上の想定年収からスタートします。
日系企業の新卒と比べると明確に高い水準ですが、コンサル業界の中で見ると特別高くはありません。 差がつき始めるのはこの先です。
コンサルタントは3〜7年目、700〜1,000万円。ここでレンジが一気に300万円幅に広がります。私が退職した時点でこの職位でした。
シニアコンサルタントが6〜10年目で1,000〜1,300万円。ここが節目です。平均年収1,331万円という数字は、ちょうどこのレンジの上端からマネージャーの下端にかかります。
つまり平均像は「30歳前後でシニアコンサルタント」ということになります。平均年齢31.3歳という数字と突き合わせると、そこに落ち着きます。
マネージャーと、並行して存在するエキスパート職
ここが他のサイトであまり整理されていない部分です。
ベイカレントにはマネージャーとは別に「エキスパート」という職位ラインがあります。 年収レンジは同格に置かれています。
違いはざっくり言うと、マネージャーがプロジェクトとチームを率いる役割、エキスパートが特定領域の専門性で価値を出す役割です。人をマネジメントする方向に進まなくても、年収レンジを上げる道が用意されているという設計になります。
これは転職を考えるときに意外と重要です。「コンサルに行くとマネジメントをやらされる」と思って敬遠する人がいますが、少なくとも職位設計上はそこが分岐しています。
シニアマネージャー/シニアエキスパートで1,500〜1,800万円。パートナー/エグゼクティブパートナーで2,000万円以上です。
同じ職位でも300万円の幅が出る理由
表を見て気づいたと思いますが、どの職位もレンジが200〜300万円あります。 コンサルタントで700〜1,000万円、シニアコンサルタントで1,000〜1,300万円。
同じ職位の中でこれだけ幅が出る理由は2つあります。
ひとつは入社時のオファー額の違いです。中途入社の場合、前職の年収と選考での評価によってオファー額が決まります。同じ職位で入っても、スタート地点が違います。新卒から上がってきた人と、中途で高いオファーを取った人が同じ職位に並ぶことは普通にあります。
もうひとつは評価による昇給の積み上がりです。職位が変わらなくても、評価が良ければレンジ内で上がっていきます。逆に言えば、昇格しなくても数年いれば少しは上がる。ただし上限はレンジの上端です。
在籍中の感覚としても、同じ職位の同僚と年収が揃っているという感じはありませんでした。職位が年収の「枠」を決めて、その中の位置は個別に決まるという理解が近いです。
だから転職を検討する段階で確認すべきなのは、オファーされる職位と、その職位のレンジのどこに置かれるかの両方です。職位だけ聞いて安心すると、レンジの下端だったということが起こります。
年代別の年収目安
職位別のレンジを年代に置き換えると、こうなります。
年代 | 年収の目安 | 中心的な職位 |
|---|---|---|
20代前半 | 500〜700万円 | アナリスト |
20代後半 | 700〜1,100万円 | コンサルタント〜シニアコンサルタント |
30代前半 | 1,000〜1,400万円 | シニアコンサルタント〜マネージャー |
30代後半 | 1,300〜1,700万円 | マネージャー〜シニアマネージャー |
40代 | 1,500万円〜 | シニアマネージャー以上 |
これは職位別レンジと到達年次から組み立てた目安です。口コミサイトの年代別集計ともおおむね整合します。
ただし新卒入社と中途入社で年代と職位の対応がずれます。 30歳で中途入社した人がコンサルタント職位で入れば、年収は700〜1,000万円です。同じ30歳で新卒から上がってきた人がシニアコンサルタントなら1,000〜1,300万円。年齢は年収を決めません。
年収1,000万円に届くのは何歳か
これはよく聞かれる質問なので、逆算しておきます。
1,000万円のラインは、コンサルタント職位の上端、またはシニアコンサルタント職位の下端です。
新卒入社で順当に上がった場合、コンサルタントへの昇格が3年目前後、シニアコンサルタントが6年目前後です。1,000万円に触れるのは入社5〜7年目、年齢で27〜30歳前後という計算になります。
中途入社の場合は、入社時の職位で決まります。コンサルタント職位で入れば1,000万円は射程内、シニアコンサルタント職位で入ればスタートから超えています。年齢より、どの職位でオファーを受けるかがすべてです。
念のため書いておきますが、これは「順当に上がった場合」の計算です。昇格は自動ではありません。実際には同じ期に入った人の中で差がつきます。私が在籍していた期間でも、同期の職位は揃っていませんでした。
新卒の初任給と想定年収
ここは推測が入らない領域です。ベイカレントは新卒の募集要項で職種ごとの想定年収を公開しています。
口コミ集計ではなく公式の数字なので、そのまま使えます。
職種 | 給与 | 賞与 |
|---|---|---|
コンサルタント職 | 想定年収 6,000,000円 | 年2回(夏期6月・冬期12月)※想定年収に含む |
システムコンサルタント職 | 想定年収 5,000,000円 | 年2回(夏期6月・冬期12月)※想定年収に含む |
コンサルタントサポート職 | 月給 300,000円 | 年2回 |
事務職 | 月給 225,000円 | 年2回 |
就業時間はいずれも標準労働時間制(始業9:00〜終業18:00、標準労働時間8時間)、休日は土日祝です。
想定年収に賞与が含まれるかを必ず確認する
ここが一番間違えられやすいところです。
コンサルタント職の想定年収600万円には、年2回の賞与が含まれています。 募集要項に明記されています。
これを見落とすと、月給が600万÷12=50万円だと思ってしまいます。実際には賞与分が引かれるので、月々の支給額はもっと少なくなります。
他社の求人と比べるときも同じです。「想定年収」と書いてあるとき、賞与込みか別かで20〜30%変わります。 賞与別で600万円なら、賞与込みでは700万円以上に相当します。数字だけ横に並べても比較になりません。
在籍中、新卒で入った同期と話していて、この認識がずれていたことは何度かありました。入社前に見ていた数字の読み方が人によって違ったということです。
月給しか書かれていない職種の読み方
コンサルタントサポート職(月給30万円)と事務職(月給22.5万円)は、想定年収ではなく月給表記です。
この2職種は賞与が「年2回」とだけ書かれていて、金額が明示されていません。 なので月給から年収を推定すると誤差が出ます。
月給30万円×12か月=360万円が賞与を除いた額です。賞与が何か月分かによって、年収は400万円台にも500万円台にもなります。ここは入社前に採用窓口へ確認すべき項目です。
コンサルタント職とシステムコンサルタント職の100万円差
想定年収でコンサルタント職600万円、システムコンサルタント職500万円。入口の時点で100万円の差があります。
ただしこれは「システムコンサルタント職のほうが下」という意味ではありません。担当する領域が違います。コンサルタント職が経営課題の解決を軸にするのに対して、システムコンサルタント職はITを軸に支援します。
そして入社後の年収は職位で決まります。 入口で100万円差があっても、昇格すれば同じレンジに乗ります。スタート地点の差であって、天井の差ではありません。
給与の内訳と、手取りの考え方
年収の総額が分かっても、実際に使える金額は別です。ここを整理しておきます。
年俸と賞与の関係
ベイカレントの給与は、年間の総額を決めて、それを月々の支給と年2回の賞与に分ける形になっています。新卒募集要項の「想定年収に賞与を含む」という表記がその裏づけです。
この形式で重要なのは、賞与が上振れ・下振れする幅が、完全な業績連動型より小さくなるという点です。年間総額が先に決まっているぶん、読みやすい。
在籍していた感覚でも、賞与の額で年収が大きくブレるという印象はありませんでした。年収が動くのは昇格したときです。 ここは何度も書きますが、この会社の給与設計の中心はそこにあります。
残業代と手当の扱い
コンサルティングファームの年収を見るときに必ず確認したいのが、残業代が年収に含まれているかどうかです。
固定残業代(みなし残業)が組み込まれている場合、提示年収の中にあらかじめ一定時間分の残業代が入っています。その場合、「年収が高い」ことと「時間単価が高い」ことは別の話になります。
働き方についてはベイカレントは激務なのかで別途整理していますが、年収を判断するときは提示額と想定される労働時間をセットで見るのが基本です。年収1,300万円でも、月の稼働が大きく変わればまったく違う条件になります。
これは選考の過程で確認できる項目です。オファー面談の場で聞いて問題ありません。
手取りはどれくらいになるか
額面と手取りの差は、年収が上がるほど大きくなります。所得税が累進課税だからです。
おおまかな目安として、額面1,000万円で手取りは720〜750万円前後、額面1,300万円で手取りは900〜950万円前後になります。社会保険料と税金が引かれた後の金額です。扶養家族の有無や住んでいる自治体で変わるので、幅を持たせています。
年収が1,000万円から1,300万円に300万円上がっても、手取りの増加は180〜200万円程度です。昇格による年収アップを考えるときは、この目減りを前提に置いておくと期待値がずれません。
もうひとつ、入社1年目に注意したいのが住民税です。住民税は前年の所得に対してかかるので、新卒1年目は引かれません。2年目の6月から引かれ始めます。1年目と2年目で、額面が同じでも手取りが減ることが起きます。これは知らないと驚きます。
中途入社の年収はどう決まるのか
先に立場を明かしておきます。私は新卒入社なので、自分が中途のオファーを受けたわけではありません。 ここで書くのは、公開されている情報と、同じチームに中途で入ってきた人たちを見ていた範囲の話です。人事側がどういう基準でオファー額を決めていたかまでは分かりません。
そのうえで、確度の高いことがひとつあります。中途の年収は、オファーされる職位でほぼ決まります。
職位が決まれば、年収の枠が決まる
選考の過程で「どの職位で採用するか」が決まります。コンサルタントなのか、シニアコンサルタントなのか。ここが決まった時点で、年収の枠は前述のレンジに収まります。
オファー職位 | 年収レンジ |
|---|---|
コンサルタント | 700〜1,000万円 |
シニアコンサルタント | 1,000〜1,300万円 |
マネージャー/エキスパート | 1,300〜1,500万円 |
そしてレンジ内のどこに置かれるかは、前職の年収と選考での評価によって変わります。同じシニアコンサルタントでも、1,000万円の人と1,300万円の人がいます。
だから中途で受けるときに一番重要なのは、どの職位で選考が進んでいるかを早い段階で把握することです。職位が1つ違えば300万円変わります。レンジ内の位置を交渉で動かすより、職位そのもののほうが影響がはるかに大きい。
これは選考の途中でも聞ける項目です。エージェント経由なら、そもそも推薦時点で職位の想定があります。
なお、どの職位で通るかは選考の難易度と直結します。ベイカレントの就職難易度で、職位ごとに何が見られるかを整理しています。
ワンプール制が年収レンジの幅を生んでいる
ベイカレントの特徴としてよく挙げられるのがワンプール制です。業界やテーマで組織を切らず、案件ごとに人がアサインされる仕組みです。
これが年収の話に効いてきます。
業界別に組織が分かれている会社だと、「金融の経験があるから金融部門で採用」という形になり、前職の専門性がそのまま値段になります。 一方でワンプール制の場合、特定業界の経験だけでは評価が確定しません。その経験を他の領域にも応用できるかが見られます。
私自身、IT領域と流通領域の両方の案件を担当していました。最初にITの案件に入り、次が流通でした。前の案件で使ったやり方を、違う業界にどう持ち込むかを毎回考えることになります。
中途で入る人にとっては、これが年収レンジの中の位置を左右する要素になります。「この業界を10年やってきた」だけではなく、「その経験のどこが業界を越えて使えるか」を言語化できているかどうか。選考で聞かれるのはそこです。
オファー面談で確認すべき3つ
年収の話で後から揉めやすいポイントを挙げておきます。
1つ目は、提示額に何が含まれているか。 賞与込みか別か、固定残業代が入っているか。新卒の募集要項でも「賞与を含む」と明記されていたとおり、この会社は総額で提示する形式です。中途も同じ考え方で確認してください。
2つ目は、その職位のレンジのどこにいるか。 提示された額がレンジの下端なのか中央なのかで、次の昇給余地が変わります。下端なら昇格前でも上がる余地がありますが、上端に近ければ昇格しない限り動きません。
3つ目は、昇格の判断がいつ行われるか。 入社してから最初の評価までの期間です。ここが年収が動く最初のタイミングになります。
この3つは、聞いて失礼になる質問ではありません。むしろ聞かずに入ると、1年後に「思っていたのと違う」となります。
選考が何段階あり、どの段階で職位が固まるのかはベイカレントの選考フローにまとめています。
評価制度と、年収が動くタイミング
ここからは在籍中に当事者として経験した部分です。私はアナリストとコンサルタントとして評価を受ける側でした。
何が評価されていたか
評価の対象は大きく3つありました。目標に対する達成度、プロジェクトでの成果、そしてプロジェクト外での貢献です。
意外に思われるかもしれませんが、3つ目が効きます。
コンサルタントの仕事は案件に紐づくので、評価も案件の中で完結すると思われがちです。実際には、社内の勉強会を回した、新しい提案資料の型を作った、後輩のレビューを引き受けたといった動きが評価の材料になっていました。
理由は構造的です。ワンプール制だと、案件ごとに一緒に働く人が変わります。特定の上司だけが自分を見ている状態にならない。 だから評価の場では、複数の人が自分について何を言えるかが効いてきます。案件の外で接点を作っている人ほど、語ってくれる人の数が多くなります。
年収が動くのは、昇格したときだけ
これは記事の最初から繰り返していることですが、体験としてもそうでした。
評価が良くても、職位が変わらなければ年収の動きは小さい。 レンジ内で少し上がる程度です。逆に昇格すれば、一段上のレンジに移るので大きく変わります。
私がアナリストからコンサルタントに上がったときも、動いたのは年収そのものより「与えられる役割」でした。担当する範囲が変わり、その結果として年収の枠が変わった、という順番です。
なので「毎年どれくらい上がりますか」という質問には、あまり意味がありません。「昇格までに何年かかるか」と「昇格の基準は何か」のほうが、年収の実態に直結します。
評価されにくかった動き方
同期や周囲を見ていて、成果を出しているのに評価に結びつきにくい人には共通点がありました。念のため書きますが、能力の問題ではありません。見え方の問題です。
ひとつは、アウトプットを自分の中で完結させてしまうことです。資料を作り込んで提出して終わり、という進め方だと、途中の判断や工夫が誰にも見えません。評価の場で語られるのは結果だけになります。途中で相談やレビューを挟んでいる人のほうが、プロセスが伝わります。
もうひとつは、同じ領域に留まりすぎることです。ワンプール制なので、ずっと同じ業界の案件を希望し続けることもできます。ただ、その場合「他の領域でも通用する人」という評価はつきにくくなります。上の職位ほど、担当範囲の広さが求められるからです。
このあたりは、昇格しなかった場合に何が起きるのかとセットで見たほうが分かりやすいと思います。ベイカレントで「クビ」と言われる理由で、ネット上の噂と実際の運用の差を整理しています。
評価の頻度と、面談の中身
評価は定期的に行われ、その都度フィードバックの面談がありました。
この面談で聞いておくとよかったと思うのは、「次の職位に上がるために、今足りていないものは何か」という質問です。評価そのものの説明は受けられますが、次に何をすべきかは自分から聞かないと出てこないことがありました。
在籍していた期間を振り返って、これを早い段階で聞いていた同期ほど、昇格までの動きが明確だったという印象があります。
福利厚生は「制度の有無」より「利用条件」を見る
新卒募集要項には、全職種に共通して福利厚生とキャリアサポート制度の項目が設けられています。
ただ、福利厚生を年収と同じ土俵で比べようとすると、たいてい判断を誤ります。制度があることと、自分が使えることは別だからです。
確認すべきなのは次の3つです。
利用条件。勤続年数の要件があるか、職位の要件があるか。入社直後から使えるとは限りません。
金額の上限。資格取得の補助にせよ何にせよ、年間いくらまでという枠があるのが普通です。
実際の利用率。制度があっても、案件の状況で使いにくい時期はあります。これは選考の過程で現場の社員と話す機会があれば聞ける内容です。
年収1,331万円という数字の前では、福利厚生の差は小さく見えます。それでも確認する価値があるのは、年収は職位が上がらないと動かないのに対して、制度は入社直後から効くからです。
ベイカレント・テクノロジーの年収は別で考える
ここを混同している人が多いので、分けておきます。
ベイカレント・テクノロジーは、ベイカレントが設立した別会社です。コンサルティングファーム本体ではなく、システム開発を担う会社として位置づけられています。
この記事でここまで扱ってきた平均年収1,331万円は、ベイカレント本体の数字です。有価証券報告書に記載されるのも本体の値になります。
ベイカレント・テクノロジーについては、公開情報として「SE経験を活かして年収1,000万円以上を目指せる」「月の残業は20時間台」「離職率は1桁台」といった水準が紹介されています。ただしこれらは募集情報や転職支援会社の記事に基づく数字で、有価証券報告書のような開示資料ではありません。
求人を見るときは、どちらの会社の募集なのかを必ず確認してください。 社名が似ているので、年収レンジの前提が違うまま比較してしまうことがあります。
年収を見るときの注意点
最後に、この記事で扱った数字を使うときの前提を整理します。
1つ目。平均年収は平均年齢とセットでしか意味を持ちません。 ベイカレントの1,331万円は、平均年齢31.3歳という条件つきの数字です。平均年齢が35歳の会社の1,331万円とは、まったく別の意味になります。
2つ目。平均は「上がった人が多い」ことの結果です。 全員が1,331万円もらっているわけではありません。アナリストは500〜650万円、パートナーは2,000万円以上。この幅の中のどこに自分が入るかが、実際に手にする金額です。
3つ目。年収は職位で決まり、職位は昇格でしか変わりません。 「平均1,331万円の会社に入る」ではなく「昇格すれば1,331万円に届く会社に入る」と読むのが正確です。
4つ目。他社と比べるなら、数字の出どころを揃えてください。 有価証券報告書と口コミ集計を同じ表に並べても、優劣は判断できません。
そして年収以外の情報については、ネット上に断片的な評判が多く出回っています。「炎上」「胡散臭い」といった言われ方がなぜ生まれるのかは、ベイカレントの評判が割れる理由で構造から分解しました。年収の数字だけで判断する前に、一度目を通しておくと全体像がつかみやすいと思います。
よくある質問
Q. ベイカレントの平均年収はいくらですか?
2026年2月期の有価証券報告書で1,331万円です。平均年齢31.3歳、平均勤続年数3.8年。ネット上でよく見る1,350万円は、1期前の2025年2月期の数字です。
Q. 年収1,000万円に到達するのは何歳ですか?
新卒入社で順当に昇格した場合、入社5〜7年目、年齢で27〜30歳前後が目安です。コンサルタント職位の上端、またはシニアコンサルタント職位の下端にあたります。中途入社の場合は年齢ではなく、オファーされる職位で決まります。
Q. 初任給はいくらですか?
公式の新卒募集要項では、コンサルタント職が想定年収600万円、システムコンサルタント職が500万円です。いずれも年2回の賞与を含んだ金額です。コンサルタントサポート職は月給30万円、事務職は月給22.5万円で、こちらは賞与が別途年2回あります。
Q. ベイカレントとアクセンチュア、どちらが年収が高いですか?
平均値だけ見ればベイカレントのほうが高く出ます。ただしベイカレントの数字は有価証券報告書、アクセンチュアの数字は口コミ集計なので、出どころが違います。また平均年齢も2歳ほど差があります。単純比較はできません。
Q. 中途入社の年収はどう決まりますか?
オファーされる職位で枠が決まり、その枠の中の位置が前職年収と選考評価で決まります。職位が1つ違えば300万円変わるので、選考の早い段階でどの職位で進んでいるかを確認するのが重要です。
Q. 年収が高いのは激務だからですか?
年収と労働時間はセットで見るべきですが、水準を生んでいる主な要因は職位の分布と昇格設計です。平均年齢31.3歳で平均1,331万円という数字は、若い層がすでに上位職位に上がっていることの結果として説明できます。実際の働き方については別記事で整理しています。
Q. ベイカレント・テクノロジーの年収も同じですか?
別会社なので別の水準です。この記事の数字はベイカレント本体のものです。求人に応募する際は、どちらの会社の募集かを確認してください。
1,331万円という数字を自分に当てはめるなら、同じ水準のポジションが他社にどれだけあるかを見ておくと判断しやすい。実際に出ている求人を見てみる(現在の年収700万円以上が対象)。
まとめ
ベイカレントの平均年収は1,331万円、平均年齢31.3歳(2026年2月期・有価証券報告書)
よく見る1,350万円は1期前の数字。下がった理由は採用の急拡大で、期中入社者が分母に入るため平均が下振れした
この表で有価証券報告書に基づくのはベイカレントだけ。他社は口コミ集計なので、同じ土俵で比べられない
年収は職位で決まり、職位は昇格でしか変わらない。同じ職位の中でも200〜300万円の幅がある
新卒は公式募集要項でコンサルタント職600万円、システムコンサルタント職500万円。いずれも賞与込み
中途はオファー職位がすべて。職位が1つ違えば300万円変わるので、選考の早い段階で確認する
年収以外も含めた全体像は、ベイカレント転職の完全ガイドにまとめています。難易度、選考、働き方、キャリアパスまで通して整理しました。
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