この記事は、ベイカレント・コンサルティングに2019年から2023年まで在籍した田中麻衣子が書いています。新卒で入社し、アナリストからコンサルタントまでを経験しました。IT・流通領域の案件を担当していました。
1年目から4年目までを、そのまま経験した立場で書きます。
「平均年収1,350万円」という数字は有名ですが、入って最初の数年で自分がいくらになるのかは、そこからは分かりません。その部分を書きます。
平均年収そのものの構造は、別記事に分解しています。
先に結論:年次では決まりません。決まるのは職位です
いちばん重要な前提です。
ベイカレントの年収は、勤続年数では上がりません。 職位(等級)が上がったときに上がります。
つまり、同期でも3年目で差が開きます。 昇格した人としていない人で、同じ年次でも提示額が変わる。これは事実です。
だから「3年目でいくら」という問いには、正確には「3年目までに昇格したかどうかによる」としか答えられません。そのうえで、目安を書きます。
年次と職位の対応
各社の公開情報や求人情報を集計すると、おおむねこのような対応になります。会社差・個人差があるので、幅そのものが情報だと思って見てください。
年次 | 標準的な職位 | 年収の目安 |
|---|---|---|
1年目 | アナリスト | 500〜600万円 |
2年目 | アナリスト | 550〜700万円 |
3年目 | アナリスト〜コンサルタント | 600〜900万円 |
4〜5年目 | コンサルタント | 800〜1,100万円 |
6年目以降 | シニアコンサルタント〜 | 1,000万円〜 |
3年目のレンジがいちばん広いのが分かると思います。 ここが、昇格した人としていない人が混ざる年次だからです。
1年目に起きること
入社直後は、年収について考える余裕がありません。 正直に言うとそうでした。
最初の数か月は、案件に入って追いつくことで精一杯です。資料の作り方、議事録の書き方、クライアントとのやりとりの作法。「仕事の型」を覚える期間です。
年収の面で言えば、1年目はほぼ横並びです。差が付くとすれば賞与の部分ですが、評価期間が短いので大きくは動きません。
この時期に効いてくるのは、年収ではなくアサインです。 どの案件に入るかで、2年目以降に語れる経験が変わります。
2年目に起きること
任される範囲が変わります。
1年目は「与えられたタスクを正確にやる」でしたが、2年目からは「この部分は任せる」と言われるようになります。論点を1つ持たされる、クライアントとの定例を自分で回す、といった形です。
年収は、評価に応じて動き始めます。ただし職位が変わらないので、幅の中での移動です。大きくは変わりません。
この年次で重要なのは、3年目の昇格に向けた材料を作ることです。見られているのは、自分で論点を立てた経験があるかでした。
3年目に起きること──ここで差が開きます
検索して来る方がいちばん知りたいのは、ここだと思います。
3年目は、昇格の判断が現実的になる最初の年次です。そして、同期の間で最も差が開く時期でもあります。
昇格した人は、年収が一段上がります。上がり方は「幅の中での移動」ではなく「レンジそのものが変わる」ので、体感でもはっきり分かります。
一方で、3年目で昇格しなかった人もいます。 そして、ここで止まると次のチャンスまで時間が空きます。
何が違ったのかを、見ていた範囲で書きます。
昇格していた人の共通点
自分で論点を立てていた。 指示されたタスクの外側にある問題を見つけて持ち込んでいた
クライアントと直接やりとりしていた。 上位者を介さない関係を作っていた
アサインを取りに行っていた。 待っているのではなく、興味のある案件に自分から手を挙げていた
昇格しなかった人に共通していたこと
与えられた仕事は完璧だった。 ただし、それ以上のことをしていなかった
案件と案件の間の期間が長かった。 声がかかるのを待っていた
2つ目が、この会社では特に効きます。
ベイカレントはワンプール制なので、待っていると次の案件が決まりにくい。 そして案件に入っていない期間は、評価の材料も作れません。能力の問題ではなく、動き方の問題で差が付きます。
早期に辞めていく人が出るのも、多くはこの構造です。
4年目以降
コンサルタントになると、案件の進め方を任される範囲が広がります。 年収も一段上がり、1,000万円が見えてくるのはこのあたりからです。
ただし、ここから先は上がり方が緩やかになります。 次のシニアコンサルタントへの昇格は、3年目のときほど短い間隔では来ません。
私が4年で辞めたのは、このタイミングでした。 年収に不満があったわけではなく、次の昇格を待つ数年を、この会社で使うかどうかを考えた結果です。
同期の間で、どのくらい差が開くか
正直に書きます。
4年目の時点で、同期の間に数百万円の差があることは普通です。
内訳としては、昇格の有無が大きく、そこに賞与の差が乗ります。同じ年に入って、同じくらい働いていても、そうなります。
これを「実力主義で良い」と取るか「理不尽」と取るかは、人によると思います。ただ、差が付く理由は説明できるので、納得はしやすい環境でした。
口コミの評価が極端に割れるのも、この構造が背景にあります。
中途入社は、何年目相当で入るのか
ここも、よく聞かれる点です。
前職の年数がそのまま反映されるわけではありません。 見られているのは、「コンサルとして何ができるか」に換算したときの水準です。
傾向としては、こうなります。
前職 | 入る職位の目安 |
|---|---|
事業会社・3〜5年 | アナリスト〜コンサルタント |
SIer・5年以上 | コンサルタント相当になることがある |
他ファーム経験者 | 前職の職位がほぼそのまま引き継がれる |
第二新卒(1〜2年) | アナリスト |
同じ職位でも、幅の中のどこに置かれるかは交渉の余地があります。 そして、この幅は数百万円あります。
交渉すべきは金額ではなく職位というのは、中途入社でも同じです。
3年目で伸び悩んだときに、何をすべきか
3年目で昇格しなかった場合、選択肢は3つです。
① 社内で動き方を変える
いちばん現実的です。アサインを取りに行く、論点を自分で立てる、クライアントと直接話す。 昇格していた人がやっていたのは、この3つでした。半年〜1年で評価は変わります。
② 別のファームに移る
他ファームでは、前職の職位がほぼそのまま引き継がれます。 逆に言えば、いまの職位のまま移ることになるので、職位を上げたいなら移る前に上げたほうが有利です。
③ 事業会社に出る
3年目は、事業会社に移るのにちょうどいい時期でもあります。「決めた経験」が1〜2本溜まっていて、かつ年齢で選択肢が狭まる前だからです。
どれが正解ということはありませんが、①を試さずに②③に行くのはもったいないと思います。動き方を変えるだけで結果が変わることは、実際にありました。
よくある質問
Q. 初任給はいくらですか
新卒入社時の水準は公開されている情報がありますが、賞与や手当の扱いを含めると受け取り方が変わります。 オファー時に、月給・賞与・みなし残業の内訳を必ず確認してください。
Q. 残業代は別途出ますか
職位によって扱いが変わります。 一定以上の職位では年俸に含まれる形になるため、同じ提示額でも手取りの感覚が変わります。 ここはオファー面談で必ず聞いてください。
Q. 3年で1,000万円に届きますか
届く人はいますが、標準ではありません。 3年目で昇格し、評価が高かった場合の話です。「3年で1,000万円」を前提に計画を立てると、ずれる可能性が高いです。
Q. 昇格の基準は明示されていますか
一定の基準はありますが、運用の部分は上位者の判断が入ります。 明示された条件を満たせば自動的に上がる、という仕組みではありません。
Q. 年収が上がらない場合、何が原因ですか
ほとんどの場合、職位が変わっていないことが原因です。同じ職位のまま年次だけ重ねても、上がる幅は限られます。「今年の評価」より「次の職位に必要な材料が揃っているか」を見たほうが早いです。
まとめ
ベイカレントの年次別の年収について、整理します。
年次では決まりません。職位で決まります
3年目がいちばんレンジが広い。 昇格した人としていない人が混ざるから
差が付くのは能力ではなく動き方。 待っていると案件が来ず、評価の材料も作れない
4年目で同期間に数百万円の差があるのは普通
中途も同じ。交渉すべきは金額ではなく職位
私は4年で辞めましたが、年収に不満があって辞めたわけではありません。 この仕組み自体は、納得できるものだったと思っています。
ただ、次の昇格を待つ時間を、この会社で使うかどうかは別の問題でした。年収の話は、結局そこに行き着きます。
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