お問い合わせ

仕事と現実

2026/09/16

コンサルを辞めたいと思ったとき|4年で辞めた元社員2人が、判断の順番を解説する 

山口翔太

本記事には広告(プロモーション)が含まれます。

この記事は、コンサルファームをそれぞれ4年で辞めた2人で書いています。

  • 山口翔太:アクセンチュアに2017年から2021年まで在籍。業界横断でデジタル変革を支援する部門で、アナリストからマネージャーまで

  • 田中麻衣子:ベイカレント・コンサルティングに2019年から2023年まで在籍。アナリストからコンサルタントまで、IT・流通領域を担当

最初に言っておきたいことがあります。

「コンサルを辞めたい」と思うこと自体は、異常でも失敗でもありません。コンサル業界では、3〜5年で次に進むのがむしろ標準的なキャリアパスとして機能しています。私たち2人とも4年で辞めていますが、誰からも引き留められませんでしたし、それが普通でした。

問題は、辞めたい理由が「いま起きていること」なのか「この仕事そのもの」なのかを切り分けないまま動くことです。ここを間違えると、転職先で同じことが起きます。

まず、辞めたい理由を3つに仕分ける

在籍中に周囲を見ていて、辞めたい理由はだいたいこの3つに分かれていました。そして対処法がまったく違います。

理由

実態

対処

① 案件がきつい

一時的。フェーズが変われば収まる

辞めなくても解決する

② 環境が合わない

部署・上司・アサインの問題

社内で動けば解決しうる

③ 仕事そのものが合わない

業態への不適合

辞めるのが正解

多くの人が、①を③だと思って辞めます。 これがいちばんもったいない。

①「案件がきつい」場合

コンサルの忙しさは、会社ではなく案件のフェーズで決まります。

アクセンチュアにいたときの実感では、通常期は1日2〜3時間の残業で定時退社の日もありました。一方、本稼働直前は月80時間近くまで行くことがあります。同じ会社、同じ人でも、時期によって別の会社にいるような差が出ます。(山口)

ベイカレントでも、労働時間の感覚はほぼ同じでした。総合系ファームとして、大きくは変わりません。(田中)

つまり、いま辞めたいと思っているのが繁忙期のど真ん中なら、その判断は割り引いて考えるべきです。

判断の目安はこうです。

  • いまの案件が終わる時期が見えているか → 見えているなら、そこまで待つ

  • 通常期にも同じことを思っていたか → 思っていなかったなら、①の可能性が高い

  • 前の案件でも同じだったか → 初めてなら、案件固有の問題

フェーズごとに何が起きるかはアクセンチュアは激務なのかに詳しく書きました。他のファームでも構造は同じです。

②「環境が合わない」場合

ここが最も多く、そして最も誤診されやすい部分です。

アクセンチュア型:配属と上司で決まる

アクセンチュアは領域と業界グループで組織が分かれていて、どのチームに入り、誰の下につくかで日々の負荷も昇進のしやすさも変わりました。

経験のあるマネージャーの下なら炎上せずに進みます。そうでなければ、避けられたはずの深夜作業が起きる。自分ではコントロールできない変数が大きい。

そして正直に書くと、昇進は声が大きい上司の下のほうが通りやすいという実感がありました。私自身、上司が社内で声が通るタイプだったので、現場はきつかったものの昇進はしやすかった。(山口)

ベイカレント型:営業とコンサルが分業になっている

ベイカレントでは、案件を取ってくる営業と、実際にデリバリーするコンサルタントが分かれています。

多くのファームでは上位職のコンサルタントが提案から入って実行まで見るので、無理な条件では受けません。分業だとそこが切れる。結果として、現場から見て「この条件では厳しい」という案件が、構造的に一定の割合で入ってきます。

そしてそのズレを作った人は、現場にいません。

これは個人の能力とはほぼ無関係に起きます。 ここを理解していないと、「自分の力不足だ」と受け取って辞めてしまう。詳しくはベイカレントで「クビ」と言われる理由に書きました。(田中)

②なら、辞める前に社内で動けます

環境の問題なら、会社を変えなくても変えられる可能性があります。

  • 異動・アサイン変更の希望を出す

  • 別の領域の案件に手を挙げる

  • 上位者に状況を共有する

ベイカレントのワンプール制では、希望を出せばなるべく準じて調整してくれました。 実力を示せていれば、プロジェクトが途切れているタイミングでも極力叶えてくれる。ただし、言わない人には調整のしようがありません。(田中)

「言ってみたけどダメだった」と「言っていない」は、まったく違います。 辞める前に、一度は言ってください。

③「仕事そのものが合わない」場合

ここに当てはまるなら、辞めるのが正解です。 転職先のファームを変えても解決しません。

判定の基準は3つです。

1. 顧客のために踏ん張れるか

自社の製品でも自社の事業でもないものに、自分の時間と労力を注ぎ込むことになります。ここに意味を見出せないと、どのファームでも続きません。

2. 地味な調整業務に耐えられるか

コンサルは華やかなイメージで語られがちですが、実際は関係者の間を行き来して合意を取る作業が中心です。

私がいたIT領域では、業務側と開発側の間に立って要件を通す役割が大半でした。分析して示唆を出す時間より、その示唆を通すための時間のほうが長い。長時間働くことより、成果が見えにくい調整作業が続くことに消耗する人を何度も見ました。(田中)

3. 当たり外れがあることを受け入れられるか

案件の当たり外れは、どのファームにもあります。自分では選べない部分が必ず残る。 ここを「理不尽だ」と感じ続けるなら、事業会社のほうが合います。

この3つはコンサルに向いている人・向いていない人でも整理しています。

辞めた人は、どこに行っているか

ここは実感ベースで書きます。

いちばん多いのは同業他社です。 事業会社に出るのではなく、別のファームに移る。(田中)

意外に思われるかもしれませんが、理由ははっきりしています。

① コンサル経験は、コンサル業界で最も高く評価される

同じ仕事の進め方が通じるので、即戦力として扱われます。年収も上がりやすい。

② 「合わなかった理由」がファーム固有だったケースが多い

前述の②です。配属や分業の構造が合わなかっただけで、コンサルという仕事自体は嫌いではない。この場合、別のファームで解決します。

③ 3〜5年の経験は、ちょうど売りやすい

短すぎず、長すぎない。専門性が付き始めていて、かつ年収がまだ高くなりすぎていない。 受け入れる側から見ると、いちばん扱いやすい層です。

事業会社の企画・DX部門やスタートアップへ出る人も一定数います。ただし、年収はいったん下がることが多いのは押さえておいてください。

行き先ごとの向き不向きと、エージェントの使い分けはコンサル転職エージェントの選び方に整理しました。

実際に辞めた2人が、何を決め手にしたか

参考までに、自分たちの場合を書いておきます。

山口の場合(アクセンチュア・4年)

配属された部門は風通しがよく、ロジックさえあれば裁量をもらえる環境でした。上司が社内で声が通るタイプだったので、現場はきつかったものの昇進はしやすかった。環境として悪くはなかったんです。

辞めた理由は、やりたいことが変わったからです。「この会社が嫌だから」ではありませんでした。 そして面接でもそう説明しました。

田中の場合(ベイカレント・4年)

IT領域から流通領域へ、希望を出して軸を広げられました。ワンプール制は、言えば応えてくれる会社でした。昇格したときの年収の上がり方も大きかった。

ただ、入った時点でずっといるつもりはありませんでした。コンサル業界では、それは後ろ向きな話ではありません。

2人に共通しているのは、「逃げるため」ではなかったことです。 次にやりたいことが先にあって、そのために辞めた。これは面接での説得力に直結します。

辞める前に必ず確認すべき3つのこと

在籍していた側から、実務的な話を書きます。

① いま辞めると、何年目として扱われるか

コンサル業界では年次と職位が市場価値に直結します。 昇格の直前で辞めると、次の交渉で不利になることがあります。

あと数か月で昇格が見えているなら、待つ価値は十分にあります。 ベイカレントでは昇格したときの年収の上がり方がかなり大きかったので、そこを取ってから動くほうが得です。(田中)

② 辞める理由を、言語化できているか

面接で必ず聞かれます。そして「きつかった」だけでは通りません。

「案件のフェーズで負荷が変わる構造は理解していた。ただ、自分は特定領域を深く掘るほうが力を出せると分かったので、その環境を選び直したい」——ここまで言語化できていれば、前向きな転職として扱われます。

③ 次の選択肢を、1つ以上持っているか

辞めてから探すのは、交渉力の面で不利です。 在籍中のほうが「いつでも戻れる」という余裕があり、条件交渉で強く出られます。

そして在籍中なら、合わなければ辞めなければいいだけです。

「辞めたい」が繁忙期の一時的なものかを見分ける質問

自分に聞いてみてください。

  • この案件が終わったら、どう感じると思うか

  • 半年前も同じことを思っていたか

  • 辞めた後にやりたいことが、具体的にあるか

  • 辞める理由を、同期に説明できるか

3つ目と4つ目に答えられないなら、まだ動くタイミングではありません。 逃げるための転職は、次の職場でも同じ結果になります。

私たち2人とも4年で辞めていますが、どちらも「次にやりたいこと」が先にありました。 それがないまま辞めた同僚が、短期間で3社目に移るのも見ています。

よくある質問

コンサルを辞めたいと思うのは甘えですか 違います。3〜5年で次に進むのは業界の標準的なキャリアパスです。問題は理由を切り分けずに動くことです。

何年目で辞めるのがベストですか 一概には言えませんが、3〜5年が売りやすい時期です。ただし昇格が目前なら、取ってから動くほうが条件は良くなります。

辞めた人はどこに行きますか 実感として同業他社がいちばん多いです。事業会社の企画・DX部門やスタートアップもありますが、年収はいったん下がることが多いです。

繁忙期に辞めたいと思うのは普通ですか 普通です。コンサルの忙しさは会社ではなく案件のフェーズで決まるので、繁忙期の判断は割り引いて考えてください。

上司が合わないだけの場合はどうすればいいですか 辞める前に異動やアサイン変更の希望を出してください。「言ってみたけどダメだった」と「言っていない」はまったく違います。

辞めてから転職活動をしてもいいですか 在籍中のほうが交渉力が上がります。合わなければ辞めなければいいだけなので、先に選択肢を持つことを勧めます。

まとめ

  • 「辞めたい」理由を①案件がきつい/②環境が合わない/③仕事自体が合わないの3つに仕分ける

  • 多くの人が①を③だと誤診して辞める。 繁忙期の判断は割り引く

  • ②なら社内で動けば解決しうる。異動・アサイン希望を一度は出す

  • ③(顧客のために踏ん張れない/調整業務に耐えられない/当たり外れを許容できない)なら辞めるのが正解

  • 辞めた人の行き先は同業他社がいちばん多い。3〜5年は最も売りやすい時期

  • 辞める前に「昇格が目前でないか」「理由を言語化できているか」「次の選択肢があるか」を確認する

  • 辞めた後にやりたいことが具体的にないなら、まだ動くタイミングではない

系統ごとの違いを整理したい場合は、コンサルファーム比較をどうぞ。


山口翔太 2017年にアクセンチュアへ新卒入社。業界横断でデジタル変革を支援する部門に所属し、アナリストからマネージャーまでの4年間を過ごす。2021年に退職。

田中麻衣子 2019年にベイカレント・コンサルティングへ新卒入社。アナリストからコンサルタントまでを経験し、IT・流通領域の案件を担当。2023年に退職。

この記事をシェアする

ホーム仕事と現実

コンサルを辞めたいと思ったとき|4年で辞...