この記事は、アクセンチュアに2017年から2021年まで在籍した山口翔太が書いています。業界横断でデジタル変革を支援する部門で、アナリストからマネージャーまでの4年間を過ごしました。
在籍中は、中途入社者を受け入れる側にいました。 つまり、落とす判断をしていた側です。
落ちた直後にこの記事を読んでいる方に、先に言っておきたいことがあります。
落ちた理由の多くは、能力ではありません。 枠との不一致です。これは慰めではなく、実際にそうでした。同じ人が、半年後に別の部門で通ることもあります。
ただし、どの段階で落ちたかによって意味はまったく違います。 そこを間違えると、次の応募でも同じことが起きます。
まず、どの段階で落ちたかを確認してください
段階ごとに、見ている人も、見ている中身も違います。
落ちた段階 | 誰が見ているか | 何で判断されたか | 次の打ち手 |
|---|---|---|---|
スカウト・カジュアル面談 | 採用担当 | 経歴と枠の一致 | 応募する部門を変える |
書類選考 | 現場マネージャー+採用 | 経歴の書き方 | 書き方を直せば通る余地が大きい |
一次面接 | 現場マネージャー | 一緒に働けるか | 話す内容の組み立て |
二次・最終面接 | 上位役職者 | 一貫性と志望の中身 | ここが最も直しにくい |
オファー面談後 | — | 条件の不一致 | 条件交渉の順番 |
このうち、直せば結果が変わる可能性が最も高いのは「書類選考」です。 そして落ちる人がいちばん多いのも、ここです。
順に見ていきます。
① スカウト・カジュアル面談で落ちた場合
これは落ちたというより、枠が合わなかったと考えたほうが正確です。
スカウトは、経歴データベースを見て条件に近い人に送っています。その時点では詳細を読み込んでいません。 カジュアル面談で実際の経歴を聞いて、「うちの部門ではない」となることは普通にあります。
受け入れる側にいて実際にあったのは、こういうケースです。
製造業の生産管理の経験を持つ方に、金融領域の部門からスカウトが出ていた
データ分析の実務経験がある方に、業務改革の部門が声をかけていた
どちらも優秀な方でしたが、枠が違いました。 これを「落ちた」と受け取って諦めるのは、かなりもったいない。
次の打ち手:応募する部門を変えてください。 アクセンチュアは部門が多く、求めている経験がまったく違います。同じ会社に、別の入口から入り直せます。
カジュアル面談の場で「自分の経験だと、どの部門が合いそうですか」と聞くのが、いちばん早いです。この質問は失礼になりません。 むしろ、枠を理解している人だと見られます。
② 書類選考で落ちた場合
中途選考で最も通過率が低いのがここです。 そして、直せば結果が変わる可能性が最も高いのもここです。
書類を見ていて、落とす判断になるのは、ほぼこの3パターンでした。
パターン1:「何をしたか」しか書いていない
「◯◯システムの導入プロジェクトに参画」だけでは、あなたが何を判断したのかが分かりません。
見たいのは「担当した」ではなく「こう判断した」です。課題があり、それをこう分解し、こういう手を打ち、結果こうなった——この構造で書かれているかどうかで、読む速度がまったく変わります。
パターン2:数字がない
規模も、期間も、効果も書かれていない経歴は、読んでも大きさが分かりません。
「売上が改善した」ではなく「粗利率を2年で4ポイント改善した」。「大規模プロジェクト」ではなく「30名・18か月」。数字は、盛る必要はありません。 正確に書くだけで通過率が変わります。
パターン3:どの部門を志望しているかが分からない
これも多いです。アクセンチュアは部門ごとに採用しているので、「アクセンチュアに入りたい」では、誰も自分の枠だと思いません。
落ちる具体的なパターンと直し方は、こちらに詳しく書いています。
次の打ち手:職務経歴書を、直近2〜3年ぶん書き直してください。 「何を決めたか/何を根拠にしたか/もう一度やるならどこを変えるか」の3つで、案件ごとに書き出す。それだけで書類の見え方が変わります。
③ 一次面接で落ちた場合
一次面接は、現場のマネージャーが「一緒に働けるか」を見る場です。
ここで落ちる場合、原因は内容より話の組み立て方であることが多いです。
受け入れる側で、判断が分かれたのはこのあたりでした。
質問に対して、結論から答えていない──前置きが長いと、それだけで「詰まる人」に見えます
深掘りされたときに、一段深い話が出てこない──準備した話を話し切ると止まってしまう
うまくいかなかった話を聞いたときに、他責で終わる──ここはかなり見られています
3つ目が特に重要です。失敗を聞くのは、失敗の内容を知りたいからではありません。 振り返って構造化できるかを見ています。「クライアントが非協力的で」で終わると、現場でも同じことを言う人だと判断されます。
次の打ち手:直近の案件を1本ずつ、「何が問題だったか/自分は何を決めたか/どこを読み違えたか」で書き出して、声に出して話す練習をしてください。
選考の各段階で何が見られているかは、こちらに整理しています。
④ 二次・最終面接で落ちた場合
ここが、いちばん直しにくい段階です。
最終に近づくほど、見られているのは一貫性になります。これまでのキャリアと、いまの志望と、入社後にやりたいことが、一本の線でつながっているか。
落ちる場合、多いのは次の2つでした。
「なぜコンサルなのか」に答えられていない
「成長したい」「market valueを上げたい」は、理由になっていません。 なぜ事業会社の企画職ではないのか、なぜ他のファームではないのか。ここに答えがないと、入社後に踏ん張る理由を持っていない人だと見られます。
話が、面接ごとに変わっている
一次と最終で志望動機の重心がずれていると、それだけで一貫性が疑われます。面接官の間では情報が共有されています。
なお、ケース面接が原因で最終に落ちることは、あまりありません。 中途選考でのケースの配点は、思われているほど大きくないからです。
次の打ち手:志望動機を、経歴から逆算して組み直してください。 「これまでこうしてきた → ここで限界を感じた → だからこの環境が必要」という順番でなければ、一貫性は出ません。
⑤ 第二新卒で落ちた場合
第二新卒は、中途とも新卒とも評価軸が違います。
在籍1〜2年だと、実績で勝負するには材料が足りません。見られているのは、短い期間で何を学んだかと、なぜ早く動くのかの説明です。
「前職が合わなかった」で止まると、同じ理由でうちも辞めると判断されます。 辞める理由ではなく、次に何を取りに行くのかを語れているかどうかです。
再応募はできるのか
よく聞かれる点なので、分かる範囲で書きます。
明文化されたルールを見たことはありません。 ただ、一定期間をあけて、経歴が変わっていれば再応募が通ることはありました。 感覚として半年から1年です。
重要なのは期間より、前回から何が変わったかです。
同じ経歴のまま、同じ部門に再応募──結果は変わりにくい
別の部門に応募──期間を待たずに可能な場合がある
新しい案件経験を積んでから再応募──ここがいちばん通りやすい
つまり、待つだけでは変わりません。 落ちた段階に応じて、直すべきものを直してから戻るのが正解です。
なお、応募履歴は残っています。前回落ちたことを隠す必要はありませんし、隠しても分かります。
次にどこを受けるか
落ちた直後に考えるべきことを、正直に書きます。
アクセンチュアだけが選択肢ではありません。 そして、落ちたから実力が足りない、という話でもありません。
部門ごとに求める経験が違う以上、同じ経歴が別のファームでは高く評価されることは普通にあります。私の周囲でも、アクセンチュアに落ちて他社に入り、数年後にマネージャーになっている人がいました。
検討する順番としては、こうなります。
状況 | 次に見るべき方向 |
|---|---|
書類で落ちた | 書き方を直して、他のファームに出す。まず通過させて感触を掴む |
面接で落ちた | 同系統の別ファーム。評価軸が近いので比較しやすい |
枠が合わなかった | 自分の経験が主力になる領域のファーム |
何度も落ちている | 系統そのものを見直す。ITや業務系のほうが合う場合がある |
系統ごとの違いは、こちらに整理しています。
具体的な次の候補としては、この2つが現実的です。
独立系──アクセンチュアと違い、部門固定ではなく案件ごとに領域が変わります。「どの枠にも当てはまらなかった」人はこちらのほうが合うことがあります → ベイカレントへの転職
IT・デジタル特化──技術的なバックグラウンドがあるなら、総合系より評価されやすい → ITコンサルへの転職
落ちたあと、最初にやるべきこと
1週間以内に、落ちた段階を記録してください。
どの段階で、何を聞かれて、どこで詰まったか。時間が経つと思い出せなくなります。 これが次の応募の材料になります。
そのうえで、第三者に経歴を見てもらってください。
自分の経歴の弱点は、自分では見えません。特に「何を決めたか」が書けているかどうかは、他人に読んでもらわないと分かりません。
落ちた直後は判断が鈍るので、すぐ次に応募するより、書類を直すほうが先です。同じ書類で複数社に出すと、同じ結果になります。
よくある質問
Q. 落ちた理由は教えてもらえますか
原則として開示されません。エージェント経由の場合は、フィードバックが返ってくることがあります。 これが直接応募との大きな違いです。
Q. 学歴で落ちましたか
学歴だけで落とす運用は、私がいた範囲ではありませんでした。ただし書類の情報量が少ないと、判断材料が学歴くらいしか残らないということはあります。経歴を厚く書くほうが効きます。
Q. 年齢で落ちましたか
年齢そのものより、年齢と職位の対応が見られます。30代半ば以降は「今すぐ何ができるか」に軸が移るので、ポテンシャルでの評価は期待しにくくなります。
Q. 何社も落ちています。向いていないということですか
段階を見てください。全部書類で落ちているなら、書き方の問題です。面接まで進めているなら、話の組み立ての問題。「向いていない」と結論づけるのは、書類が通るようになってからで十分です。
Q. すぐ再応募したいのですが
同じ部門・同じ経歴なら、結果は変わりにくいです。別の部門なら、期間を待たずに試す価値があります。
まとめ
アクセンチュアの中途選考に落ちたあと、確認する順番です。
どの段階で落ちたかを特定する。 意味がまったく違う
書類で落ちたなら、直せば変わる可能性が高い。 「決めたこと」と「数字」を入れる
面接で落ちたなら、組み立ての問題。 結論から話し、失敗を構造で語る
最終で落ちたなら、一貫性。 経歴から逆算して志望を組み直す
再応募は期間より、何が変わったか。 待つだけでは変わらない
落とす側にいて、いちばん多かったのは「惜しい」書類でした。 経験は十分なのに、書き方で伝わっていない。そういう人が、書き直して別の会社に通るのを何度も見ています。
落ちたこと自体は、そこまで大きな情報ではありません。どの段階で落ちたかのほうが、ずっと多くを教えてくれます。
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