この記事は、アクセンチュアに2017年から2021年まで在籍した山口翔太が書いています。業界横断でデジタル変革を支援する部門で、アナリストからマネージャーまでの4年間を過ごしました。自分もケース面接を受けて入り、在籍中は中途入社者を評価する側にもいました。
「ケース面接対策をすれば受かる」と考えて、問題集や想定問答を回し始める人は多いです。
ただ、落ちている人の多くは対策不足ではありません。 評価されている中身を誤解したまま、その誤解に沿って準備しています。
この記事では、落ちる型を5つに整理します。テクニックの話ではなく、評価する側が何を見ていたかの話です。
先に:ケース面接は、思われているほど配点が重くありません
最初に前提を共有させてください。
中途選考では、ケース面接の配点はそれほど大きくありません。 少なくとも私がいた環境では、判断の中心は過去の経歴の深掘りでした。
ケースは「足切り」に近い使われ方で、ひどくなければ落ちない。逆に、ケースが素晴らしくても経歴が語れなければ通りません。
ではなぜこの記事を書くかというと、「ひどくなる」人が一定数いるからです。そしてその原因は、能力ではなく前提の誤解であることがほとんどでした。
そもそも、何を見ているのか
ケース面接は、こういう場ではありません。
正解を当てる試験
ロジックを披露する場
頭の良さを見せる場
見ているのは、もっと単純です。
「この人と、来週から同じプロジェクトで働けるか」
情報が足りない状態で前に進められるか。指摘されたときにどう反応するか。議論の相手として成立するか。評価の中身はこれだけです。
この前提を外すと、どれだけ対策しても方向がずれます。
落ちる5つの型
型① 結論を急ぐ
いちばん多い落ち方です。
すぐに答えを言おうとする
仮説を置く前に数字を出す
問いの前提を確認しない
「優秀に見せたい」の裏返しなのですが、評価する側にはこう見えます。
状況を整理せずに走り出す人。
実際のプロジェクトで、これがいちばん困ります。走り出してから前提が違ったと分かると、チーム全体の時間が失われるからです。急ぐより、まず立ち止まれる人のほうが安心して任せられます。
直し方:最初の2〜3分は、必ず前提の確認に使ってください。「この会社の事業領域は◯◯という理解で合っていますか」「期間は何年で考えますか」。この時間を削っても加点はありません。
型② フレームワークを「型」で語る
対策を重ねた人ほど、これが出ます。
3C、4P、MECE、バリューチェーン——使うこと自体は問題ありません。問題は「なぜその型なのか」を説明できないときです。
型に当てはめることが目的になっている
問いとフレームが噛み合っていない
この状態は、思考しているように見えて、していないと受け取られます。そして、かなり簡単に見抜かれます。
直し方:フレームワークを出す前に、「この問いは、何で分けると意味があるか」を自分の言葉で言ってください。 その答えがたまたま3Cなら使えばいいし、違うなら使わなくていい。
アクセンチュアの場合に実際に出たお題と、どう答えると評価が変わるかは別記事にまとめています。
型③ 対話になっていない
ケース面接は、会話です。試験ではありません。
にもかかわらず、こうなる人がいます。
一方的に話し続ける
面接官の反応を見ない
修正の余地を残さない
面接官が口を挟むのは、邪魔をしているのではなく、助けています。 そこが論点だと示している、あるいは方向を戻そうとしている。それを無視して押し切ると、「指摘が通らない人」という評価になります。
直し方:2〜3分話したら、必ず一度止めて「ここまでで、方向はずれていませんか」と聞いてください。減点されません。 むしろ、確認できる人だと見られます。
型④ 思考の途中を隠す
これも多いです。
迷いを見せない
試行錯誤を省略する
綺麗な結論だけを出そうとする
しかし実務では、迷い・仮説の修正・行き止まりが前提です。面接官が見たいのは完成品ではなく、そこに至る過程です。
途中を隠すほど、一緒に考えられない人という印象になります。
直し方:「いま2つの方向で迷っています。Aは◯◯だから筋が良さそうですが、Bのほうがデータが取りやすい」——この言い方がいちばん強いです。 迷いを言語化できる人は、実際のプロジェクトでも詰まりません。
型⑤ 数字を置くが、その数字を説明できない
フェルミ推定でよく起きます。
「日本の人口1億2,000万人、世帯数5,000万」まではいいのですが、そのあとに置く比率の根拠が出てこない。
「だいたい3割くらい」と言われたとき、面接官は数字の正しさを疑っていません。 そう置いた理由を聞いています。
直し方:置いた数字には、必ず一言添えてください。「自分の周囲だと◯人に1人くらいなので、3割で置きます」。根拠が体感でも構いません。 説明があるかどうかが分かれ目です。
逆に、評価されていた人
共通点は4つでした。
行動 | なぜ評価されるか |
|---|---|
前提を丁寧に確認する | 走り出す前に方向を合わせられる |
不確実性を言葉にする | 「ここは分からないので仮置きします」と言える |
会話しながら進める | 途中で方向を修正できる |
指摘を自然に受け入れる | 一緒に働いたときのストレスが少ない |
どれもテクニックではありません。仕事の進め方そのものです。
だからこそ、ケース面接は「対策ゲー」になりきりません。普段の仕事で考えていない人は、その場だけ取り繕えないからです。
ファームによって、重さが違います
ここは押さえておいたほうがいいです。
系統 | ケースの比重 | 出やすい問い |
|---|---|---|
戦略系 | 重い | 市場規模推定、収益改善の施策立案 |
総合系 | 中程度 | 業務課題の構造化。経歴の深掘りが中心 |
IT・デジタル系 | 軽いことが多い | 技術的な前提の理解、要件の整理 |
財務・FAS系 | 領域による | 財務数値の読み取り |
戦略系を受けないのであれば、ケース対策に時間を使いすぎる必要はありません。 そのぶんを経歴の整理に回したほうが、通過率は上がります。
系統ごとの違いは、こちらにまとめています。
ファーム別の選考の流れは、それぞれの記事にあります。
→ ベイカレントの選考フローと面接の流れ / ITコンサルへの転職
準備の順番──問題集は3番目です
対策を始める前に、順番を確認してください。
1番目:普段の仕事で、どう考えているかを書き出す
直近2〜3年の仕事を1本ずつ、「何が問題だったか/何を根拠に決めたか/もう一度やるならどこを変えるか」で書き出します。
これがケース面接の土台です。 ケースで問われているのは、この思考を初見のお題でやれるかどうかだからです。
2番目:前提確認と、迷いの言語化を練習する
型①③④は、その場の振る舞いで直ります。声に出して練習してください。1人でもできます。
3番目:問題集を解く
ここでようやく問題集です。ただし、解いた数より「解いたあとに何を直したか」のほうが効きます。 5問を丁寧に振り返るほうが、30問を流すより通過率が上がります。
未経験からの応募では、そもそもケース以前に書類で落ちていることが多いので、先にそちらを確認してください。
よくある質問
Q. 計算が苦手でも大丈夫ですか
大丈夫です。使うのは四則演算だけで、計算の速さは見ていません。 ただし、暗算で無理をして間違えるのは損なので、紙に書いて構いません。「計算します、少しお待ちください」と言えば止まります。
Q. 詰まってしまったらどうすればいいですか
黙り込まないでください。 「いま行き詰まっています。◯◯の方向を考えていたのですが、データが足りません」と言えば、面接官が方向を示してくれることが多いです。詰まること自体は減点ではありません。 詰まったまま黙るのが減点です。
Q. 答えが間違っていたら落ちますか
落ちません。そもそも正解が用意されていない問いがほとんどです。 見ているのは過程です。
Q. 何問くらい練習すればいいですか
数より、1問あたりの振り返りの深さです。目安として10問を丁寧にやれば、型は身につきます。それ以上は、経歴の整理に回したほうが効きます。
Q. 未経験でもケース面接は出ますか
出ます。ただし未経験者に対しては、難易度より「考え方が見えるか」を見ていることが多いです。完成度を上げるより、思考を見せることを優先してください。
まとめ
ケース面接で落ちる理由を整理します。
配点は思われているほど重くない。 中途では経歴の深掘りが中心
落ちる型は5つ。 結論を急ぐ/型で語る/対話になっていない/途中を隠す/数字を説明できない
評価されるのは、仕事の進め方そのもの。 テクニックではない
戦略系以外では、ケースの比重は軽い。 時間配分を間違えない
問題集は3番目。 先に自分の思考を書き出す
私自身も受けて入りましたが、うまく答えられた記憶はありません。 それでも通ったのは、詰まったときに黙らず、迷っていることをそのまま言ったからだと思っています。
完璧に見せようとしないこと。 それがいちばん効きます。
人気の記事
記事を読む
キャリア
コンサルファーム徹底比較|戦略・総合・IT・Big4の違いと選び方
山口翔太
#年収アップ
#戦略コンサル
#総合コンサル
#ITコンサル
#Big4
#30代転職
記事を読む
転職ガイド
コンサル転職エージェントの選び方|元マネージャーが受け入れ側の視点で解説
山口翔太
#年収アップ
#第二新卒
#30代転職
#事業会社出身
#未経験転職
記事を読む
転職ガイド
アクセンチュアの平均年収866万円は、なぜ実態より低く見えるのか|元マネージャーが11段階の等級から解説する
山口翔太
#将来不安
#年収アップ
#ITコンサル
記事を読む
転職ガイド
コンサル転職は、いつ・何歳までに決めるべきか|元社員2人が5つの判断軸で整理する
田中麻衣子
#未経験転職
#向き不向き
#後悔
#迷い