志望動機は、コンサル選考でいちばん差が付くところです。そして、いちばん準備が甘くなるところでもあります。
この記事は2人で書いています。
山口翔太:アクセンチュアに2017年から2021年まで在籍。アナリストからマネージャーまで。在籍中は中途入社者を受け入れる側にいました
田中麻衣子:ベイカレント・コンサルティングに2019年から2023年まで在籍。最終面接がいちばんきつかった側の経験を持っています
先に結論を書きます。落ちる人は、ほぼ全員が同じ場所で止まります。
落ちる人が止まるのは、3階層目
志望動機には3つの階層があります。
階層 | 問い | 準備できている人の割合 |
|---|---|---|
1階層目 | なぜコンサルタントなのか | ほぼ全員 |
2階層目 | なぜこの会社なのか | 半分くらい |
3階層目 | なぜ他社ではないのか | かなり少ない |
ベイカレントの選考で、自分がいちばんきつかったのは最終面接でした。手前を通過して「あとは意思確認だろう」と思ったところで、質問の深さが一段変わります。 用意してきた回答をなぞるだけでは持ちません。(田中)
受け入れ側から見ても同じでした。1階層目と2階層目は、みんなよく準備してきます。 差が付くのは3階層目です。(山口)
3階層目が答えられない理由
会社の公式な特徴を復唱しているからです。
「御社はワンプール制で実力主義だから」 「御社は幅広い業界のプロジェクトがあるから」
これらは誰でも調べられる情報です。他社を受けている人も同じことを言います。だから差になりません。
必要なのは、「自分の働き方と、この会社の仕組みが噛み合う理由」です。
悪い例と良い例を並べます。
悪い例
御社は業界を横断した幅広いプロジェクトに関われる点に魅力を感じています。自分の視野を広げ、成長したいと考えています。
「成長したい」は志望動機ではありません。 どこでも成長できます。そして、この文章からは「この人は何ができるのか」が一切分かりません。
良い例
前職で、自分から手を挙げて部署横断のプロジェクトを立ち上げた経験があります。組織の枠に沿って仕事が来る環境より、自分で取りに行ける環境のほうが成果を出せると分かっています。ワンプール制は、その動き方がそのまま評価につながる仕組みだと理解しています。
自分の経験と会社の仕組みが結び付いています。 これなら3階層目まで持ちます。
いちばん重要なのは、一貫性
受け入れ側にいたときにいちばん見ていたのは、ここです。
経験 → 志望動機 → やりたいこと。この3つが一本の線になっているか。(山口)
バラバラだと、どこかで必ず崩れます。
経験:営業として顧客の業務課題を聞いてきた
志望動機:課題を聞くだけでなく、解決まで関われる立場に移りたい
やりたいこと:同じ業界の顧客に対して、業務改革の実行まで支援したい
この形になっていれば、深掘りされても崩れません。 逆に、経験と関係ないことを「やりたい」と言うと、そこで質問が集中します。
もう1つ、コンサル固有の観点があります。「その実績は、環境が変わっても再現できるのか」です。
前職の看板、既存の顧客基盤、長年の人間関係。これらに支えられた成果は、コンサルでは持っていけません。だから成果そのものより、「どう考えて、どう動いたか」を語る必要があります。
落ちるパターンの詳細はアクセンチュア中途は厳しいのかにも整理しました。
アクセンチュアの志望動機で必要なこと
アクセンチュアは配属制です。 ストラテジー/コンサルティング/テクノロジー/オペレーションズ/ソングという領域があり、さらにその中が業界グループに分かれています。
つまり、「どの領域で何をしたいか」が言えないと、志望動機として成立しません。
「アクセンチュアで働きたい」では足りない。「この領域の、この業界グループで、こういう案件に関わりたい」まで言えて初めて、受け入れ側が自分のチームに置く姿を想像できます。
書き方の型
前職の〇〇業界で△△の課題に向き合ってきた。その経験を、同じ業界のクライアントに対して〜という形で活かしたい。御社の〇〇領域は、その業界での実績が厚いと理解している。
業界を軸にすると、いちばん書きやすいです。前職の業界知識は、そのまま配属の根拠になります。
なお、等級は11段階あり、2つ上がって初めてベース給の水準が変わる設計です。入社時にどの等級で入るかは、志望動機の説得力とも連動します。 選考の流れはアクセンチュア中途の選考フローと面接の流れにまとめました。
ベイカレントの志望動機で必要なこと
ベイカレントはワンプール制で、業界別・ソリューション別の組織を持ちません。全員が1つのプールにいて、案件ごとにアサインが決まります。
つまり、「どの領域に応募するか」という概念が薄い。 アクセンチュアと同じ書き方をすると、噛み合いません。
必要なのは、「どんなテーマでも自分から入っていける根拠」です。
在籍中に感じた、通る人の共通点は2つでした。推進力があり、頭の回転が速い人。 この2つは、入社後の仕組みと直結しています。自分から希望を出して動ける推進力と、案件ごとにテーマが変わっても立ち上がれる速さ。(田中)
書き方の型
前職で、経験のない領域を任されたときに〜という進め方で立ち上げた。特定の業界知識に依存せず、構造を掴んで前に進めることが自分の強みだと考えている。案件ごとにテーマが変わる環境のほうが、その強みが効くと理解している。
アサインについて補足しておきます。 外では「面談で選ばれなければ仕事が来ない」という書かれ方をよく見かけますが、在籍中の実感はもっと穏当です。希望を出せば、なるべく準じて調整してくれました。 ただし、言わない人には調整のしようがない。
この理解が志望動機に出ていると、実態を分かっている人だと伝わります。(田中)
選考の段階ごとの詳細はベイカレントの選考フローと面接の流れに書きました。
面接で深掘りされたとき、どこまで持つか
3階層まで作っても、面接では「なぜ」がさらに降りてきます。 実際に聞かれる掘り方を書いておきます。
こちらの回答 | 返ってくる質問 |
|---|---|
前職で部署横断のプロジェクトを立ち上げた | なぜ自分から立ち上げたのか |
誰もやっていなかったから | なぜ誰もやらなかったのか |
部署をまたぐ調整が面倒だったから | その調整を、どう通したのか |
ここまで来ると、準備した文章では対応できません。 実際に自分が考えて動いたことでないと、3つ目で必ず止まります。
だから、盛らないでください。 大きな実績でなくていいので、本当に自分が起点になった話を選ぶほうが最後まで持ちます。
私の場合、ケース面接で「ハンバーガーの売上を2倍にするには」というお題が出ました。当時はDXが叫ばれていた時期で、フレームワークをなぞるだけでなくそこに自分らしさを付け加えられるかが見られていたと思います。志望動機も同じです。型に当てはめた瞬間に、誰とも区別が付かなくなります。(山口)
使い回すと、必ずバレます
2社を同じ志望動機で受けると、どちらにも刺さりません。
上で見たとおり、アクセンチュアは「どの領域で何をしたいか」、ベイカレントは「どんなテーマでも入っていける根拠」を求めています。求めているものが逆です。
使い回された志望動機は、受け入れ側から見るとすぐ分かります。会社名を入れ替えても成立する文章になっているからです。
チェック方法は簡単です。自分の志望動機から会社名を消して、別の会社名を入れてみてください。 それで成立するなら、書き直しが必要です。
職務経歴書は共通で使えます。 「課題 → 分析 → 打ち手 → 成果」の構造で整理しておけば、どのファームでも見たい情報が揃います。分けるべきなのは志望動機だけです。
準備の優先順位
時間が限られている場合、この順番を勧めます。
志望理由を3階層まで作る(なぜコンサル → なぜこの会社 → なぜ他社ではない)
実績を再現性のある形に書き直す(環境依存を外す)
経験・志望動機・やりたいことを一本の線に揃える
ケース面接対策
4番を最初にやる人が多いのですが、配分としては誤りです。 最終面接で落ちる人は、ケースができなかったからではなく、1〜3が浅かったからです。
なお、3階層目は他社の実態を知らないと書けません。 ここが自力で埋めるのがいちばん難しい部分なので、複数社を見ている人に整理してもらうのが早いです。相談先の選び方はコンサル転職エージェントの選び方にまとめました。
よくある質問
コンサルの志望動機で落ちるのはなぜですか 3階層目(なぜ他社ではないのか)に答えられないからです。1階層目と2階層目はほぼ全員が準備してきます。
「成長したい」は志望動機になりますか なりません。どこでも成長できるので差になりませんし、その人が何をできるのかも伝わりません。
アクセンチュアとベイカレントで書き分けは必要ですか 必要です。アクセンチュアは「どの領域で何をしたいか」、ベイカレントは「どんなテーマでも入っていける根拠」を求めます。求めるものが逆です。
使い回してもバレませんか バレます。会社名を入れ替えても成立する文章になっているので、読めば分かります。
職務経歴書も分けるべきですか 不要です。「課題 → 分析 → 打ち手 → 成果」の構造なら共通で使えます。分けるのは志望動機だけです。
未経験でも志望動機は書けますか 書けます。前職の業界知識や、経験のない領域を任されたときの進め方が根拠になります。コンサル経験の有無は関係ありません。
まとめ
落ちる人は3階層目(なぜ他社ではないか)で止まる
会社の公式な特徴の復唱では足りない。自分の働き方と会社の仕組みが噛み合う理由が要る
受け入れ側が見ているのは経験・志望動機・やりたいことの一貫性
アクセンチュアは「どの領域で何をしたいか」。業界を軸にすると書きやすい
ベイカレントは「どんなテーマでも入っていける根拠」。求めるものが逆
使い回すとバレる。 会社名を入れ替えて成立するなら書き直し
職務経歴書は共通でよい。分けるのは志望動機だけ
準備はケース対策より、3階層と一貫性が先
ファームの系統ごとの違いから整理したい場合は、コンサルファーム比較をどうぞ。
山口翔太 2017年にアクセンチュアへ新卒入社。業界横断でデジタル変革を支援する部門に所属し、アナリストからマネージャーまでの4年間を過ごす。在籍中は中途入社者を受け入れる側にも。2021年に退職。
田中麻衣子 2019年にベイカレント・コンサルティングへ新卒入社。アナリストからコンサルタントまでを経験し、IT・流通領域の案件を担当。2023年に退職。
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